2019/04/02 05:32 | 昨日の出来事から | コメント(0)
日本のハンコの行方は?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
Fujio Kawazakiの店の棚にはホコリが溜まっている。顧客はかつて、この東京の片隅の店にハンコの品質を求めてやってきた。ハンコとは、署名の代わりに日本で使われている個人のスタンプのことである。陳列されている商品の中には、かつての時代の遺物である象牙で作られたものもある。「この頃は、誰もハンコに8万円を出す人はいない」とKawasaki氏はいう。そして、今、彼は、政府がこうしたハンコ産業を葬り去ろうとしていると危惧している。
ハンコは日本人の生活の一面である。全ての大人、天皇ですら、ハンコを1つ持っている。彼らは、車を買うとき、家を借りる時、結婚する時にハンコを要求される。管理者はオフィス中を回っているファックスやメモや、古めかしい書類にハンコを使う。
こうした全てのペーパーワークは、日本のオフィスを先進国で最も非効率なものにしている。生産性の低さと収益性の乏しさから、日本の3大銀行は顧客にハンコなしで口座開設できるようにし始めた。「多くの日本人は、紙に木のハンコを押す代わりに、スクリーンに指を当てるだけになるだろう」とオンライン銀行の社長Noriaki Murayama氏は予測する。地方政府もまた電子化への移行を始めている。 現在、議会で検討されているデジタル化法案は、より多くの書類や印鑑の放棄を求めている。
科学技術省の長官Takuya Hirai氏は、「こうした法制化の合理性は、極めてはっきりしており、また健全である」とし、「日本人は、余りにも書類の形式の為だけに時間を浪費してきた。人口減少は、もはや紙を基本とした官僚的なものを維持する事はできない」と述べている。 Hitai氏は個人のハンコに対して、感情的な同情は殆ど持っていない。
ハンコ業界は、Hirai氏にこうした計画を放棄するよう嘆願書を提出した。その中で「この法案はKawasaki氏のような10万を越える印鑑店の生活を脅かしている」と述べ、「ハンコは、西洋のサインよりもはるかに優れている。何故ならば、上司は、書類を承認した証として、それぞれのハンコを信頼できるからである。私達は、このシステム(ハンコを使うシステム)が日本の戦後の経済成長に大きく寄与したと誇りに思っている」と結論付けている。Kawasaki氏は、政府がペーパーワークを削減したいのは、最近のスキャンダル(一連のモリカケのスキャンダル等)の中で、書類に押されたハンコがその証拠として使われているからではないかと考えている。
しかし乍ら、多くの日本人は、既にハンコを放棄する準備が出来ている。ハンコの代わりにサインをする事が、政府が関与する前から既に広がり始めている。Kawasaki氏の店は80年以上もたっている。彼の父が事業を立ち上げた。しかし、もう次の時代(令和の時代)には生き残っていけないとKawasaki氏は嘆く
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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