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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2009/10/23 07:54  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

来年の各国の経済成長予測


おはようございます。

今週号の英経済雑誌エコノミストにIMFが予測した来年の国別経済成長予測が掲載されています。

まず、来年にかけて大きく経済が成長すると予測されているのは中国で、2009年の7月時点の8%台前半の予想でしたが、2009年10月時点では9%に上方修正されています。私のいるオーストラリアは、中国の経済成長の恩恵を最も受けやすい国の一つで、中国の鉱石、石炭などの資源関連が、オーストラリアから大量に輸出されています。

次は、インドで6%台前半、そしてブラジルの3%台後半です。 世界の平均は2009年7月期の2%台から2009年10月期の3%近辺まで上方修正されています。引き続きBRICsが世界の経済の牽引役のようです。

その一方で、先進諸国の2010年の経済予測は、日本が1%台後半、アメリカが同じく1%台後半、そしてイギリス、フランスの1%と続き、ユーロ圏全体では僅かのプラス成長と厳しい予測となっています(それでも、2009年7月期のマイナス成長からプラス成長に上方修正されました)。

読者の皆様もお気付きの通り、2008年夏のリーマンショックで顕在化した金融恐慌の影響を最も受けたのは、当事者であるアメリカではなく、そのアメリカから大量の不良債権を買い、更には自国の住宅バブルもはじけたヨーロッパが最も大きいダメージを受けました。 このことは銀行の不良債権処理の度合いからもはっきりしています。 アメリカでは、大手銀行の不良債権処理は峠を越えたとされますが(あくまでも表向きですが)、ヨーロッパでは不良債権全体の4割の処理も終わっておらず、不良債権処理はこれから本格化します。 

更には、不良債権処理が終わったとしても、次には一連の景気刺激策や銀行救済に費やされた各国政府の債務処理問題が、大きく立ちはだかっています(ソブリン リスク問題)。 

こうして考えてみると、今回の金融恐慌の影響は、まだまだ尾を引き、今後も形を変え、品を変えては浮上してくる問題のようです。そのような状況下では、健全な経済成長は望めません。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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