2018/05/11 05:04 | 昨日の出来事から | コメント(0)
日本の銀行(銀のサービス) ?!
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前橋 拝
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今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
三軒茶屋のショッピング街の三井住友銀行のATMコーナーを通り過ぎると、そこでは個人向け銀行サービスを満喫できる。制服姿のコンソルジェが全ての顧客に対してお辞儀をして出迎える。高齢者顧客を心待ちにしている多くの窓口担当者が、後方に座っている一人の管理者によって監視されている。契約取引が紙に書かれた契約書に彫刻された印鑑を押すことで完了し、そして再び顧客は辺りの職員のお辞儀に囲まれる。
日本の目抜き通りの銀行は、単に職員が多過ぎるだけではなく、支店の数が多すぎるのである。世界銀行によれば、先進国の10万人辺りの銀行の平均的な商業銀行の数は17.3行である。 しかし、日本は34.1行もあり、もし、これに貯蓄する人々にとって人気のある「ゆうちょ銀行」の支店も加えると、日本は世界で最も銀行過多であると日銀も認めている。
殆どの先進国の商業銀行は、金融危機以降、収益を上げる事に苦労している。しかし日本は、過去20年に亘り、殆ど、あるいはデフレそのものであった。その結果、日銀の最近のレポートによれば、「strikingly:際立って」銀行の収益機会が低くなっている。2017年度の資産運用益は、アメリカが1%に対して、日本の銀行は+0.3%であった。シンクタンクADBIのNaoyuki Yoshino氏は「銀行全体のシステムが劇的に縮小している」と述べている。
(銀行の)終身雇用制の文化が、その理由の一つであるが、遂にメガバンクは行動に出始めている。IMFは、日本のビッグ3、MUFG、三井住友、そしてみずほは、世界のトップ9の銀行の中にあるが、彼らは、これまで改善することなく低収益に苦しんできたと警告していた。昨年、ビッグ3は100以上の支店を閉鎖し、今後、10年で32,000人の人員削減を発表した。みずほは全体の4分の1を削減し、MUFGは、100以上の支店の自動化によって1000人単位の人員の配置を検討している。BOJのShinobu Nakagawa氏は「こうした事は、銀行業界の残りの全ての銀行に当てはまる」と述べている。
JPモルガン証券のMasamichi Adachi氏は「メガバンクは、自分たちが熟知した海外に拡大することで成長の可能性を求めている」と述べている。 1980年代から1990年代の向こう見ずな貸し出しの後は、銀行間の合併が続いた。2000年代半ばには公的資金の投入が行われた。 その結果、金融危機以降、アメリカやイギリスの銀行がアジアで展開した後に残った(あまりおいしくない)ビジネスに飛びつかざるを得なかった。資金の出し放題が2012年に始まった。MUFGはベトナム、フィリピン、タイの銀行を買収した。2012年以降、ビッグ3の海外向けローンは、19%から33%に増加した。彼らは、国内を圧縮する一方で、海外向けの貸し出しシャアを引き上げるであろう。
「国内にある105の地方銀行は更に酷い」とYoshino氏は言う。これらの銀行は殆ど収益の出ない銀行であり、半数以上は貸し出しと手数料ビジネスで損を出している。若者が大都市に移住した事によって、地方の人口減少と高齢化が進み、こうした銀行は更に収益が悪化した。彼らの顧客が漸減するだけでなく、残された顧客は高齢者ばかりで、彼らは個人のサービスしか望んでない。公正取引委員会は、過去10年間に15の地方銀行の合併を承認し、そのペースは加速している。一方で、金融庁は、地方銀行にあまりプレッシャーを与えることに躊躇っている。こうした銀行は、高齢者社会のライフラインとなっており、地方の経営不振の企業を支えている側面があるからである。
政府は、銀行は、中小企業や新規事業の立ち上げに資金を提供すべきであると考えている。そのことによって経済が広範囲に成長するだけでなく、銀行自身も新規のより収益性の高い顧客を獲得することに寄与すると考えている。しかし、銀行システムにショックを与えないようにしながら硬直したこれまでの銀行慣習を取り除くためにリスクを取りたがらない銀行を動かすことは悩ましいことである。FSAの高官は「収益性が低いことは、彼らの銀行にとって持続維持可能でないことを彼らに知ってもらいたい」とし、「合併は一つの選択肢であるが、収益性を増やす余地はまだまだある」と述べている。
こうした事は極めて当たり前であるが、更に、こうした銀行は、新たに、そして更に厳しい過当競争に立ち向かわなければならない。中国の大手Fintech会社 Ant Financialが、最近、東京にオフィスを立ち上げた。 また、日本で7.5百万人の顧客を持つLineは、金融サービスに業務を拡大しようとしている。三井住友信託とソフトバンクが10年前に立ち上げたオンライン銀行のSBI Sumishinは、一気に日本で最も人気の高い住宅ローン銀行になった。 社長のNoriaki Murayama氏は「他の銀行に比べてコストが5分の1になっているおかげ」と述べている。 例えば、ローン申請の手続きにAIを使う事によって業務を簡素化させ、多くの銀行の貸出金利が年1.28%に対して、SBI Sumishinは1.17%で貸し出しできる。
Maruyama氏は「目抜き通りの本店のガラクタは取り除かれ、代わりにATMだけが残る。 取引の殆どが携帯電話でなされる」と述べている。これは銀行家に取って非常識なことではない。 しかし、その一方で、他の国では、彼が言うような(自分たちにとって)都合のいい顧客を持っていない(顧客はそんな単純ではない)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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