2018/04/27 05:07 | 昨日の出来事から | コメント(0)
香港ドル、最も操作された通貨!?
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
香港ドルは、世界で最も(manipulate:操作された)通貨であり、同時に全く操作されていない通貨である。過去34年に亘り、この現地通貨を管理するHKMA(香港通貨庁)は、様々な上げ下げの市場要因があったにもかかわらず、1米ドル=7.8HKドル近辺にペグ(為替操作により安定)させてきた。2005年にHKMAは2つの公約をした。 それは、1米ドル=7.75ドルでは米ドルを買い、1米ドル=7.85ドルでは米ドルを売るというものであった。
HKドルの強みは、この34年来、HKMAがこの約束を守り続けてきたことにある。HKMAは、アメリカから「国際競争力の観点から通貨を操作している」と非難されても、アメリカドルを買った(ペグを維持した)。
事実、HKMAは、常に為替水準を維持する準備をしてきた。以来、2005年から先週に至るまで、このレンジを外れる事はなかった。しかし、2018年4月12日、初めて1米ドル=7,785ドルを付けて13年振りのHKドル安となり、HKMAは、その後、数日間にわたり$51bnのHKドル買い/米ドル売り介入をした。
HKドルが弱くなっている背景には、アメリカの金利上昇とHKの低金利がある。 また、投資家は、HKMAがHKドルを買い続けて米ドル準備金を消耗してしまうのではないかと懸念している。しかし、HKMAは、(厳密な意味で)供給しているHKドルを全て買い取るだけに留まらず、それ以上の外国資産を保有している。
かつて、当時のHKドル安に対抗し、HKドルの魅力を高める為にHKドルの資金供給を減らすことによってHKドル金利を高め誘導し、実質的に意味でHKドルを買った事があった。 HKに住宅などの不動産を保有している人に取って、唯一の懸念はHKドルを維持する為に高金利政策がとられると、不動産価格が下落するかもしれないという事である。というのも過去2年間にHKの不動産価格は30%も上昇したからである。
HKドルの対米ドル=ペグ政策は、これまでの世界的な景気後退、あまたの株価ショック、アジア危機、世界金融危機、世界で最初に資本主義圏から世界最大の共産主義圏に移行される出来事にも生き残ってきた。 今後、数度にわたるアメリカの政策金利引き上げがあったとしても、殆ど、心配に及ばないであろう。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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