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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/04/23 05:35  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

世界主要国の住宅事情


おはようございます。

今週号の英経済雑誌エコノミストに賃貸価格を基準に世界の住宅事情の割高割安を比較した記事がありましたでので、ご紹介します。

まず1997−2010年にかけて住宅価格が絶対値的に上昇した国ランキングです。最も上昇したのは、南アフリカの417%で、次にオーストラリアの197%、そしてイギリスの180%、スペインの166%、スエーデンの159%、アイルランドの142%となっています。 これらの国の内、イギリス、スペイン、アイルランドは住宅バブルがはじけて国々です。 一方で、オーストラリアが197%も上昇して、バブルでないのがやや不思議に思われるところです。 反対にこの期間中に最も住宅価格が下落したのは、日本で−36%、続いて香港の−16%となっています。 

次にこの1年間だけに注目してみますと、最も住宅が上昇したのは香港の27.7%、次にシンガポールの24.5%、オーストラリアの13.6%、中国の10.7%となっています。 また、イギリスは前年までは−14.9%でしたが、この1年間では9.0%上昇しています。 同様に、アメリカ(主要10大都市)の1年前までの住宅価格は−19.2%でしたが、この1年間では殆どゼロまで回復しています。 一方で、アメリカ全体では、1年前までは−18.2%でしたがこの1年間は−2.5%となっており、主要10大都市のようにいまだ回復し切っていません。 さて私達日本の最近の住宅価格は、1年前までは−2.6%でしたが、この1年間で−4.0%と下落が加速しています。

その結果、過去のトレンドと賃貸価格を勘案した後の住宅価格の割高、割安を見たところ、住宅価格の一番割高なのはオーストラリアの56.1%となり、続いて香港の49.1%、スエーデンの37%、イギリスの31.2%が続きます。 そしてアメリカでは、主要10大都市では3.9%と若干割高ですが、全体では−3.7%と割安感が出始めています。 同様の見方で私達日本の住宅価格を見てみますと、−33.7%と大幅に割安ですが、未だに底打ち感はありません。

一方で、オーストラリアの最近の住宅価格高騰の異常さは、私自身も身に感じているところです。最近、近所の中古マンション(築10年 約200平米)が、1.25百万ドル(日本円で約一億円)で入札されていましたが、これを現金で買って賃貸に出したところで利回りは3%程度にしかならず、銀行の定期預金の半分以下です。 ローンを借りてこれを賃貸に出すと逆ザヤで投資として採算が合いません。 明らかに「将来の資産価値の上昇」を期待して買わないことにはこれを正当化できず、既にバブル状態になってきていると言えます。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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