2016/11/29 05:24 | 昨日の出来事から | コメント(7)
トランプ政権誕生後の日本債券市場の行方は?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
11月9日のトランプ政権誕生によって、世界の債券市場の利回りは急上昇し(価格が下落し)、1.2兆ドルの価値が吹き飛んだ。その背景には、世界の投資家が債券を売って、今後のアメリカ経済の拡大(株式の購入)とインフレ上昇に期待した投資行動があった(FRBによる政策金利の引き上げを見込んだ米ドル買い)。その中にあって、日本の10年債の利回りも急上昇し、それまでのマイナス金利から2か月ぶりにプラス金利に上昇した。
2012年にアベノミクスが発表され、2013年3月に任命された黒田日銀総裁は、就任以降、デフレと闘ってきたが、その中にあって債券利回りを低く維持することは非常に重要であった。彼の在任中、2014年には、それまでの市場からの債券購入額を50兆円から80兆円まで大幅に引き上げるプログラムを発表し(異次元の金融緩和)、今や、日銀は、国債の総発行残高の40%を保有するまでになっている。加えて今年の2月にはマイナス金利の導入(-0.1%)を発表した。 これに対して、市場関係者から「黒田総裁の金融政策の過ちを更に拡大する」との批判が起こった。 更に2016年9月には黒田日銀総裁は、インフレが2%を大きく上回るまで無期限に10年国債の利回りを0%以下に押さえ込むと約束した。
安倍政権としては、デフレを脱却する事が主たる目的であったが、彼の就任後の4年間は、個人消費は伸びず、日本企業は設備投資を行わず、今や242兆円もの企業内部留保を抱えている。また、黒田総裁は、これまでのデフレが長引いた要因として、原油価格の下落とエマージング国の景気の失速を理由に挙げている。しかし、市場関係者は「何をどうやっても2%のインフレ率の達成は無理」と指摘している有様である。
黒田総裁がいくらお札を印刷したところで高齢化と人口減少が社会を覆っており、日本の人口は2010年以降100万人減少している。また、日本政府も2060年には就業者人口が40%減少すると予想している。その中にあって国の借金はGDP対比246%になり、今後も拡大し続ける。
日本政府が長期的な観点から日本の構造改革を約束することなく、黒田総裁は「金融政策だけで何が出来るか?」を、ひたすら努めさせられ続けてきた。そして、日銀が約束した「目標達成(2%以上のインフレ)まで債券市場の金利を維持する為に無制限にコミットする事に対して限界がある」との議論に対して、黒田総裁は「そうした考えに同調しない」と9月に述べている。
しかし、英誌エコノミストは「果たして、市場が彼の考えに同意するかどうか、彼(黒田総裁)は、いずれその結末を見るであろう」とコメントしています。
ここからは付論ですが、「日本の借金が膨れ上がっても市場の利回りがゼロなのだから問題ない!」とグッチー編集長を始め、多くの人(エコノミストや金融関係者)が述べています。 しかし、私は、こうした考えに一貫して否定的です。そして「国の借金はいくら増えても問題ない!」と述べている方々に、以下の問い(課題)に対してどう答えるのかお尋ねしたい。
「ここ数十年で債務が雪だるま式に膨れ上がり、現世代の有権者が投票権を持たない子どもたちのお金を勝手に使っている(債務とは本質的には将来所得の先取りに他ならない)。世代間の社会契約をいかに回復するかが民主主義社会の最大の課題だ(その最たる国は日本である!)。
「ハーバード大学 歴史学者: ニーアル・ファーガソン:『劣化国家』(2013年)」
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7 comments on “トランプ政権誕生後の日本債券市場の行方は?!”
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私は、今の日銀の政策について、正しいと思っています。
通貨の大量発行に於ける最大の問題点は、ハイパーインフレです。即ち、ハイバーインフレが起こらない限り、通貨の大量発行(金融緩和)は、借金の実質的棒引き、デフレへの防御等の意味から正しい政策だと思います。
問題は、将来的に、ハイパーインフレが起こる可能性がどんどん大きくなってくることだと思いますが、日本の場合、実質的に日本を支えているのがグローバル企業群だと考えられ、彼らにとって、インフレはそんなに悪いことではない(円安、資産価値の増大等)、その為、日本経済は踏ん張れると思います。その場合、一番たいへんな目に会うのは、一般庶民ですが、一般庶民もお金を銀行に貯金しているのではなく、株や海外資産に投資しておけば、円安・インフレに対する防御になるはずです。
ですから、本当に困るのは、お金を銀行に預けているだけの人、或いは、フローのお金が潤沢ではない人たちですが、お金を銀行に預けているだけの人は自業自得だと思われます(こういう人たちが日本経済を悪くしている)。唯一、フローのお金が潤沢ではない人への何らかの救済が必要になるかもしれません。
という事で、私は黒田総裁は本当によくやっていると思います。
それに対して、日本のマスコミ、(特に、日経新聞)は黒田日銀批判を繰り返していました。又、日銀会合の後の黒田会見に於けるマスコミの態度は酷い。まるで、袋叩きしているようで、見るに堪えない(それで、最近は見ていませんので、最近の態度は不明です。)そんな中、冷静に対応している黒田さんは印象的でした。
既得権益とかしがらみがあって、時代についていけないのが問題なのだと思います。グローバル化で途上国に仕事が増え先進国で失業するのは当然です。
黒田日銀は安倍内閣の支持率のもと規制緩和=農業、雇用改革に期待したが支援はなく孤立。国の少子化対策も的を外してばかり。
ただ海外、特に欧米をみると制度を変えるのはとても困難であり、その鬱憤がブリグジッドやトランプにつながったのだと思います。歴史的にも日本はペリーやマッカーサーのように外部の圧力がなければ改革できない国民性です。とてもできないと思う。
おそらく日本はグローバル化による先進国共通の問題と少子貧困の日本固有の問題のふたつがあるように思います。
リニア作るよりも少子貧困問題に投資したほうが長期的には株や債券を支えると思う。また三菱で明らかなように日本の工業もてこ入れが必要。これにはやはり教育でしょう。理系の国立大学へ大規模投資すべき。
現実には改革できず太平洋戦争の日本軍のように敗退していくのだと思います。
それでいいのかも知れない。日本はいままであまりにも勝ちすぎたのだと。
1000兆でしったけ?日本の借金。
名目上は金刷れば返せますが、ハイパーインフレ起きますよね。
これを破たんとすれば、当然その前に貸し剥がしが起き海外に貸した金返せと言いますよね、
でその国々が先に破たんしますよね。で最後に日本破たんしますよね?
この状態は誰が望んでるんでしょうか?
あるいは日本が破綻して1ドル10000円とかになったら、
海外資産3.6兆ドルが約100倍になって簡単に返せると思うんですが?
破綻して円高はないでしょうからね。
私の考えは間違っていますか?
借金を後世のためにしない方が良いのは当然です。が年寄りどもが自分の権利手放さないよね。
イギリスのメディアも洞察力が極端に
低下してきましたね。
現在に対しての”将来”ですから、必ずしも
子供とは限りません 現在の大人から
バンバン取る計画です 生かさず殺さずで
殺さない範囲でまず消費増税ついで
年金の減額法案がもうじきできますし
相続税はもうかなり手が打たれてます
クロコさんはそれで、豪へ行かれたのでは?
昨今は、社会契約が疎かにされるているように
人間は間違うこともあるので通貨発行権を政府から分離する、などの
契約という概念による近代国家システムが崩壊しています。
自由主義経済は、税の公正な再分配という
社会契約を前提に成り立っています。
・特別会計などブラックボックスによる再分配のゆがみ
・租税回避など脱税の野放し
などもあるように、税の再分配の不公正を改善しなければ
日本は自由主義経済が機能せず、中露のような
社会主義経済の人治国家として貧しくなっていくでしょう。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」と
闇に呑みこまれてしまった人々が多いのかもしれません。
>これを破たんとすれば、当然その前に貸し剥がしが起き海外に貸した金返せと言いますよね、
残念ながら、この前提が誤りです。
破綻する主体は国、一方、海外に貸している主体は個人や企業です。両者は別物なので、国や自治体が破綻しても、海外の貸し剥がしは起きません。ドメスティックな企業や個人はハイパーインフレ下に於いて貸し剥がしに会うでしょうが、海外には波及しません。海外に投資や債権を持っている個人や企業はBSの資産側が円建てで急騰するので、むしろ優良貸出先となって、円資金の調達に不自由する事は無いでしょう。
国がいくら借金をしても破綻しない論者の根本的な誤りは、連結すべきで無い異なる主体のBSを勝手に連結して一体として論じている事です。三橋氏などの言うような「日本全体のBS」などは全くナンセンスであり、その様な誤った前提に立つ限り、誤った結論しか出ません。
ハイパーインフレが迫った時に、日本の国、企業、個人の各異なる主体がどのように其々の都合で動いて、どのように各個の利益の最大化を計って行くか、を考えなければなりません。メガバンクや大企業のBSで考えれば、調達側は円資金中心なのに資産側は既にかなりの海外資産・投資がありますから、社会保険料がズルズル上がって人件費負担に耐えられなくなるより、むしろハイパーインフレを望むかもしれませんよ?
なるほど、日本国民としては円資産以外も持っとけということですね。
ぐっちーが言うアメリカの資産が良いですね。