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2016/11/22 04:54  | 昨日の出来事から |  コメント(2)

トランプ・レーガノミクスとは?!


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

以前に読者の皆様にもご紹介したように、大統領選挙前には、英誌エコノミストは「トランプ大統領が誕生すれば、ニクソン大統領の二の舞になることを保証する」と豪語していましたが、トランプ大統領に決定後は「レーガン大統領をモデルにした政策を取り可能性がある」と変節し、もし、彼がそのような政策を取れば、どのような政策を展開するかを紹介しています。
(彼が大統領選挙戦で公約した経済政策に基づいたものです)。

まず、オバマ ケアを廃止し、これまで民主党政権が進めてきたグローバリズムを放棄し、保護貿易主義に軸足を移す。 そして、彼が選挙戦で訴えた減税とインフラ投資は、1980年代のレーガン大統領政権の政治を彷彿させる。 1980年代のレーガン政権では何が起こったかと言えば、国債の金利が大きく上昇し、財政赤字が大幅に拡大し、インフレが高進しました。しかし、トランプ政権にレーガン政権で起こったことを短絡的に結びつけるには様々な問題がある。

まず、減税であるが、レーガン政権下の法人税は、今の水準よりも非常に高かったので、減税による景気刺激効果が大きかった。しかし、所得税、法人税、キャピタルゲイン税、相続税の減税を行えば、その減税効果よりも、寧ろ、その弊害の方が大きくなる可能性がある。 これを実際に行えば、トランプ政権ではGDP対比4%の税収減となり、レーガン政権の時のGDP対比3%よりも税収減の額が大きくなってしまう。これに加えてUSD550bnの公共投資(日本円で約60兆円)を行えば、更に財政赤字が増大する。こうした景気刺激策はインフレを招き、これまでデフレで苦しんできた先進国にとって望ましいことと受け取られるかもしれない。 しかし、1980年代のレーガノミクスの教訓は、こうした「いい事」以上に弊害が多かった事を示している。

その1つ目は、財政の不安定化である。1980年代は、ボルカー連銀議長の下、インフレ退治の為に高金利政策を取り、アメリカの金利は非常に高かった。その後、より高い経済成長と、より多くの借り入れによって米ドルは高騰し、1980年のレーガン 大統領就任時から1985年には40%も米ドルが高騰した(これを現在の米ドル/円の為替にあてはまめると選挙前の1ドル=100円から1ドル=140円になります!)。結果として、発展途上国のドル建て債務の返済額が大幅に増加し、ラテン アメリカの国々の財政破綻問題に進展した(南米の国々に大量に貸し出ししていたアメリカのビッグ バンクは大損をした)。 現在は、こうした米ドル建て債務は当時に比べて大きく減少したが、それでも発展途上国の外貨建て債務の不安定化の問題は残る。

2つ目は、経常収支の問題である。1980年代のように米ドルが大きく上昇すると、現在のアメリカ経常収支は、若干の黒字であるが、これが大幅な赤字になる可能性がある。1980年代は、アメリカの貿易相手国にアメリカへの輸出制限を政治的な圧力をかけて何とかやり過ごしたが、1985年にはそれも限界にきて、ベーカー債務長官がプラザ合意でドル安政策を打ち出し、1987年にはレーガン政権の失敗を日本などの輸出国のせいにして経済制裁を行った(自動車、ICチップ等)。 

自由貿易に関心のないトランプ政権も、同様の事を起こすかもしれない。早い経済成長と高金利によってドルに資金が流れ込み、このこと自体はアメリカへの投資が増えることになるが(プラス要因)、その一方で、ドル高がアメリカの輸出業者の妨げになる。事実、トランプ大統領誕生で、アメリカのお隣の国メキシコのペソは対米ドルで10%下落し、メキシコの輸出業者は、それだけで国際価格競争力を付けた。また、アメリカはメキシコの貿易相手の最大国であり猶更である。特に、為替を巡っては、中国人民元と米ドルのバトルになった時、1985年のベーカー財務長官以上に経済的かつ地政学的な危険をはらんでいる。

最後に、これが最も重要なことであるが、減税や金融などの自由化によって経済を活性化させても、その恩恵が社会全体に行く渡らないことである。30年前(1980年代)と同じことをしても今の時代には不適切である。 より高い階層の人々ほど、より多くの恩恵にあやかり、更に減税をしてもそれによる成長効果は限界的となる(社会全体に広がらない為)。現在の所得の不均衡は1980年代よりも拡大しており、一層の減税は、これまでなく社会を分断させ、政治的に弊害をもたらす可能性がある。

最後に英誌エコノミストは「逆進性の高い減税(不平等を更に拡大させる減税)は、緩やかながらも、よりリスクの高い途(より過激な大統領への途)を開くことになりかねない」と述べています。

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2 comments on “トランプ・レーガノミクスとは?!
  1. パードゥン より
    英誌エコノミストも落ちぶれた

     まず、ブレグジットに至った自国庶民の問題に今なお
    気付いていない    困ったものだ

     メキシコが潤えば不用な不正入国者は減少するかもしれない
    税は、民主党支援のIT産業の合法的な脱税を止めさせればいい
    足りない分は日本から取ればいい(恐ろしい話だが)
    などなど、経営者らしい調整ができるかどうかで判断せんと
    エコノミスト誌は国家運営の議論が乱暴すぎる

  2. より
    プーチンの米国買収

    トランプ支援の不動産金融土建など
    新興キリスト教団体フロント企業の脱税も
    相当なものかと…

    ドルと米国債を紙屑にすることが
    トランプへのミッションでしょう。

    しかし世界中の富裕層はドル資産を保有しているので
    プーチン一派の作戦はそれらを安値で買い集めて
    米国を金融面から支配することでは?

    私ならそうします(笑)

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