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2016/10/28 05:15  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

前衛的な南オーストラリア州


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに、今、南オーストラリア州で議論となっている自殺ほう助に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

そもそも、この州は他のオーストラリアの州を違って前衛的な処があります。 例えば、古くは1894年に世界で初めて議会に女性が誕生した州です。 また、1976年年には、英語圏で初めて夫婦間で無理やりセックスをする事を禁止しました。 更には、オーストラリアで最初に同性愛者や人種差別をすることを禁止した州でもあります。そして、今、オーストラリアで最初に自殺ほう助を合法化しようとしています。

今週、西オーストラリア議員が、余命6か月程度の終末治療の患者に対して、医者の立ち合いの下、死に至る薬を処方する事を認める法案を提出しました。現在、自殺ほう助が合法化されているのは、カナダのコロンビア州、いくつかのヨーロッパの国、そして数えるほどのアメリカの州となっています。 オーストラリアでは、実際の処は、1996年にノーザンテリトリーで最初に自殺ほう助が合法化されましたが、その法案成立後の9か月後に連邦政府がこれを禁止し、 全国で9つある州の内、3つの州でこれを合法化する事を禁止しましたが、残りの6つの州については、連邦政府は政治的に禁止できませんでした。

それ以来(1995年以来)、南オーストラリア州の議会では、これまで14回も自殺ほう助に関する法案が提出され、こうした事を通じて、オーストラリア社会でも自殺ほう助に対する関心が高まり、2012年の南オーストリアと2013年のタズマニアでは自殺ほう助に関する法案が、それぞれの議会で僅か2票の差で否決されるまでになりました。今や、オーストラリア国民の70~75%が、こうした終末患者に対する自殺ほう助を容認するまでになり、自殺ほう助を支持する人々は「政治家は世論を反映していない」と批判しています。

その一方で、シドニー病院が終末治療の患者に行ったアンケートによれば、「たとえ痛みを軽減できる薬があったとしても、自殺を希望するか?」と尋ねたところ、僅か5%の患者だけが「それでも自殺したい」と答えるにとどまりました(それ以外のほとんどの人は、痛みから逃れるのであれば死にたくない)。

英誌エコノミストは「この種の問題に対する答えは、非常に不透明である」としながらも、「南オーストラリアの自殺ほう助に関する法案の行方は非常に拮抗している」と述べています。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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