2016/09/29 05:09 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ドイツ銀行の課徴金問題
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存知のように、9月15日にアメリカの司法当局(America’s Department of Justice: DOJ)が、ドイツ銀行に対して2005~2007年にアメリカ国内で販売したモーゲージ商品不正に対する和解金140億ドル(日本円で1兆4000円億円)を提示しました。 この高額な和解金に対して、ドイツ銀行は直ちに上告して和解金の減額交渉に入っています。
このニュースの発表を受けてドイツ銀行の株価は8%も急落し、その後も弱含みで推移しています。また、他のヨーロッパの銀行(バークレーズ、クレジット スイス、UBS)も同様にDOJによる課徴金に対する和解金問題を抱えており、今回のドイツ銀行の株価急落の煽りを受けて株価は4%程度下落しています。また、5年物のクレジッド デフォルト スワップ マーケットでは、ドイツ銀行のデフォルト スワップ レートは、2016年に入ってからは、それまでの100bpから250bpまで急上昇しています。
今回のドイツ銀行の和解金額は他の銀行に比べて途方もなく高いかと言えば、そうでもありません。例えば、モルガン スタンレーは3.2bnドルをFHFAに対して支払っていますし、BOA(バンク オブ アメリカ)は、16.7bnドルの和解金を支払っています。また、これらの米系の銀行は、これ以外にも金額は小さいですが、Federal Housing Finance Agency(FHFA)に対しても和解金を支払っています。
これに対し、ドイツ銀行は、2013年にFHFAに対して1.9bnの和解金を既に支払い、当時は「これ以上は支払わない」と主張してきました。 確かにCiti Bankは2014年にRMBSに対する和解金額を当初の12bnから7bnに減額することで合意しましたが、果たして、ドイツ銀行が今回の控訴の中で訴えている金額(3bn程度)で収まるか不透明です(ちなみに、ドイツ銀行は既に約5.5bnユーロの和解金支払い為の引当金を計上しています)。
悪いことに、2015年には、ECBがマイナス金利を導入した事によって、ドイツ銀行は6.8bnユーロの損失(7,5bnドル:日本円で約7,400億円)を計上し、ドイツ銀行の株価は、2015年の高値34ユーロ台から10ドルユーロ程度まで下落しました。その結果、2016年6月時点の自己資本比率は10.8%と他の銀行に比べて見劣りするまで低下し、ドイツ銀行の会長Cryan氏は2018年までに自己資本比率を12.5%まで引き上げる計画を発表しました。
今、市場で言われている事は、ドイツ銀行がドイツ国内のコメルツ銀行を買収する、あるいは、ドイツ銀行が保有する アセット マネージメント会社を売却する事が取り沙汰されていますが、Cryan氏は、社内のスタッフに対して「買収や、売却の計画の噂話に惑わされるこのないように」と訴え、外部に対しては「我々は、我々自身で問題を解決できる充分な経営基盤を保有している」と強気の姿勢を示しています。
いずれにせよ、リーマン ショック時に起こった世界金融恐慌の後処理は、いまだに終わっていません。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ドイツ銀行の課徴金問題”
パードゥン にコメントする コメントをキャンセル
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この程度の課徴金ではアメリカ中間層がこうむった
被害は回復されないでしょう しかも多少なりと
中間層に配布されますか? しないでしょうね
バフェットのように危機で巨額の利益をだした
アメリカ人を守るための海外銀行いじめのように
見えませんか? サンダースやトランプ支持層が
いるのはなぜ?
英誌のレベルというか視点が甘いですね
イギリス メディアは提灯持ちでない凄さがかって
ありましたが、最近はダメですね(笑)