2012/03/30 05:46 | 昨日の出来事から | コメント(1)
早くも音(ね)を上げ始めたアイルランド?!
昨日は、ギリシャ危機がひとまず去って、次に考えられるポルトガルについてお話しましたが、今日は、ギリシャよりも先に財政再建に着手していたアイルランドの現状に関する記事が英誌エコノミストにありましたのでご紹介したいと思います。
アイルランドの財政危機は、ギリシャのように国家財政が直接的に破綻危機を引き起こしたのではなく、アイルランドの大手銀行が土地バブルに便乗して過剰融資に走り、その貸付資金を調達する為に高い利息をつけてイギリスやオランダ、更にはドイツ等の個人から預金をかき集めたものの、土地バブルが弾けて銀行が倒産し、政府はアイルランドの銀行の預金保証を行っていた為に、2008年にこれらヨーロッパからの預金者に対して保証限度額内の預金の返済義務を負う羽目になった事が主たる要因です。
その後、アイルランド政府は2010年に国内の2つの銀行を国有化してIBRC(Irish Bank Resolution Corporation)を設立し、不良債権処理と預金者への弁済を、ECB主導の下、アイルランド中央銀行から安い資金を調達する形で進めていましたが、その返済計画内容は非常に厳しいもので、政府は2023年まで毎年3.1bnユーロ(日本円で3300億円)の返済と、2031年までの財政支出を強いられます(その額は、アイルランドのGDPの2%の相当し、日本で言えば、日本のGDPがざっと500兆円ですので、その2%は10兆円となり、その金額が如何に大きな負担かご想像がつくと思います)。
最近になって、この懲罰的な負担にアイルランド政府は早くも音を上げ始め、5月か6月にこれまでの負担のあり方の是非を問う国民投票の可能性をちらつかせることによって返済計画の見直しを訴え始めています。 しかし、こうした動きに対してECBはともかくもブンデスバンクは非常に警戒感を強めています。 何故ならば、一度、こうした返済計画の見直しを受け入れると、今回、ようやく合意にこぎつけたギリシャの再建計画の見直しも迫られる可能性があるからです。
それにしても、ユーロ圏の財政危機に直面している国々の対応を巡っては、「まるで缶蹴りゲーム(Can-kicking Exercise)だ」と英誌エコノミストは揶揄しています(EUとECBが必死に守っている通貨「ユーロ」という名の「カン」をEU加盟国の誰が蹴飛ばすか分からない状態だからです)。
そして、今、アイルランドに関して問題なのは、ここのまま懲罰的な負担を続けようが、国民投票でその是非を問おうが、いずれにせよ再び景気後退に陥ってしまうという現実です。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “早くも音(ね)を上げ始めたアイルランド?!”
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の飢えを思い出しますね・・
かといって・・
移民出来る国は・・もぅ無いし・・
あちらのテレビは・・
盛んにスペインを取り上げてますね・・
一部の国にとって・・
ユーロは厄病神だったのか・・・