2016/08/16 05:47 | 昨日の出来事から | コメント(1)
アベノミクスが世界に教える事
先々週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
2012年にアベノミクスと称して3本の矢(金融緩和、財政出動、構造改革)が放たれ、それまで低迷していた日本経済は、大胆な金融緩和に伴う大幅円安と財政出動によって景気は好転し、失業率は低下しました。 その一方で、その負の遺産として財政赤字は250%を越え、日本銀行による国債買取り額は、市場流通量の3分の1を既に越え、2018年には55%まで膨れ上がると試算されています。
果たして、アベノミクスは成功したのか?それとも失敗したのか?が、今、問われているが、GDPそのものは2012年当時と殆ど変らない水準で低迷している。 しかし物価については2010年を100とした場合、アベノミクス登場時には98.5ポイントまで下落していたが、現在は101ポイントまで上昇している。また雇用についても、2012年には約8,000万にいた労働人口は2016年には6100万人まで下落する一方で、雇用者の数は2012年の6,200万人から6,400万人まで増加している。 この雇用者の増加は、非正規雇用者やパートタイム労働者の増加が大きく寄与している。 また、2015年にかけてはそれまでの円安と外国人旅行者に対するVISA発行要件の緩和によって、日本に来る外国人旅行者の数は2,000万人まで大きく増加した。 安倍政権は、これらをもってして「アベノミクスは、道半ばながらも成功している」と主張している。
その一方で、海外の投資家は、そのようには考えておらず、「アベノミクスは死んだ」だとし、その理由は、「アベノミクスによる金融緩和や大胆な財政支出によっても生産性が向上しなかった。そして、彼(安倍首相)は、それに乗じて人気取りに走り、日米安保条約の憲法解釈を見なおし、ゆくゆくは憲法改正を目論んでいる」とみなしているからである。
では、我々英誌エコノミストのアベノミクスに対する評価はどうかと言えば、「アベノミクスは、2012年当初は過大宣伝された。 しかし、その一方で、現在のアベノミクスに対する市場の評価は過小評価されていると考えている。 何故ならば、少子高齢化、労働人口の減少、世界的なディスインフレの状況下、大胆な「変革」を望むより現状からの「改善」を望む日本において、僅かばかりとはいえ経済成長と物価を上昇させたからである。 確かに過去3年間のアベノミクスは、その目標対比アンダー パフォームした。 しかし、それ以前の実績対比ではアウト パフォームした。 そして今後3年間は、これまでの3年間とは違って(過大宣伝されることなく)謙虚ではあるが、しかしこの3年間よりも改善する可能性がある」と述べています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “アベノミクスが世界に教える事”
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世界のパイは増加しないという事では?
とりあえず、財政のシーリングをはずしてもらわんと
その中で、変動相場性が日本に不利に働いていると
いう事でしょう 最近、円だけ高騰してません?
観光のような、大きなテロがあれば激減する不安定産業に
依存するのは危険すぎる事を日本人庶民は理解していると
思いますよ。 エジプトもトルコも大変でしょう
パリでさえ観光収入は激減のはず
ブラジルもオリンピックの後は大変でしょう