2016/06/21 05:25 | 昨日の出来事から | コメント(3)
イギリスの国民投票を控えて
今週号の英誌エコノミストが掲題に関する記事を掲載していましたのでご紹介したいとも思います。
読者の皆様もご存知のように、イギリスでは今週23日にEUからの離脱の是非を問う国民投票が行われますが、当初は残留派が優勢でしたが、先々週にかけては離脱派の巻き返しが大きく入り、離脱派が残留派よりも優勢になりました。 しかし先週にイギリス下院議員刺殺事件が起こり、イギリス国民の中に離脱に対する不安感が高まり、再び残留派が優勢に立っていますが、その動向は最後まで予断を許さない状況になっています。
そんな中、今週の英誌エコノミストは、当然のことながらEU残留を訴え、もし、イギリスが離脱を決定した際には、イギリスは経済的にも政治的に大きくダメージを受けるだけでなく、ユーロもその地位を大きく落し、更には ドナルド トランプ氏や、フランスのマリー ルペン氏のような経済的ナショナリズムや外人排斥主義が勢いを増し、これまでヨーロッパの繁栄を下支えしてきた自由主義の秩序が大きく損なわれる可能性があると述べています。
離脱賛成派は、現在のEUに蔓延しているユーロ懐疑主義を背景に、硬直的で民主主義的でないEUから離脱し、自由主義と自国の主権を取り戻すべきと主張しています。しかし、彼らの考えは、実際には幻想の中で彷徨っているに過ぎず、もし、イギリスがEUを離脱すれば、イギリスは今よりじり貧となり、より一層創造力を失い、また、EUもイギリスなしでは、ただでさえ困難な現状がますます悪化するであろうと述べています。
経済面から見れば、もしイギリスがEUから離脱をすれば、イギリスの貿易の50%以上はEUとの貿易である為、大きくダメージを受け、また、外国から直接的に金融にアクセスし、投資が出来るのはロンドンのシティだけであることは明白であるとしています。 故にイギリスの役割はEUの規制を監視し、EUの予算や域内の人々の自由な移動に対して貢献しなければならないにもかかわらず離脱派はこうした事を排除し、あるいは間違った方向に人々を仕向けようとしていると同誌は批判しています。
また、政治的にも、ユーロにおいて、ドイツがあまりにも強くなりすぎる時には、イギリスがフランスと共にパランスと取ることが出来、もしフランスが(右傾化するなど)自由的でなくなるならば、イギリスはオランダや北欧の国々と共にそれを止めることが出来る。そして、もしユーロがうまくいっている時には、その繁栄を享受し、また、逆にEUがうまくいっていない時には、イギリスはその正しい解決策を見つけることに関心を持つべきであるとしています。
最後に英誌エコノミストは、「これまで長きにわたり、我々は、ユーロを批判してきた。 ユーロは体制として不完全であり、外交の決定に関しては腹立たしいほど曖昧である。しかし、それでも現在のユーロ体制は、(独裁等の)他の体制に比べればずっとましである。我々はイギリスのユーロ離脱はとんでもない誤りであると信じている。もし離脱となれば、それはユーロの体制を弱め、また、イギリスを貧困化させ、衰退させる。 我々は、EU残留に投票する」と述べています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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3 comments on “イギリスの国民投票を控えて”
maehashi にコメントする コメントをキャンセル
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ご了承のうえ、ご利用ください。
格差社会を享受している人達が発言すると、せっかく議員が命の犠牲を
払ってまで訴えた事の信憑性が薄れてしまいます。 黙っててほしい。
今、水を飲みたい人にどうすれば良いか。 それは残留した場合に
より良い生活を約束する事で、さらに悪くなると言われても
これ以上、悪くなりようがないとひらき直られますよ
高待遇のジャーナリストは、ピントがずれてる(笑)
ところで、経済誌紹介より本業の
離脱の場合の円高限度と日経の崩落限度をぜひ予測して
ご教示ください
いつもお世話になります。
ご質問の件に関しては、有料サイトの「イギリスの国民投票に関する売買方針」の中で、私の考えを申し上げています。
ご参照ください。
前橋
船と同じで片側(離脱なし)に偏ると危ないですよね
波動以外の理論値があればと質問しました