2016/04/07 05:13 | 昨日の出来事から | コメント(0)
豪、今年も不動産が最も割高な国
今週号の英誌エコノミストに世界の主要都市の不動産価格動向に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
世界中がディスインフレの中にあって、世界の主要国26か国の内、20か国の不動産価格は上昇しています。インフレ調整後でこれらの国では、過去3年間に平均5.1%上昇し、有名な都市の不動産価格は平均8.3%上昇しています。
ヨーロッパでは、アムステルダム、ベルリン、ロンドン、パリ、ストックホルム、チューリッヒでは、これらの都市の不動価格上昇率が過去3年間で平均6.5%以上も上昇し(国全体では+3.2%)、自宅購入を諦めざるを得ない人が自宅購入希望者の1割を越えています。 また、太平洋側を囲む国々でも、サンフランシスコ、バンクーバー、シドニー、上海などでは、同じく過去3年間で平均12%上昇しています。
こうした不動産価格の上昇の背景には、海外からの不動産購入(あるいは投資用不動産取得)が挙げられ、例えば、スイスのチューリッヒでは、40%がスイス国外からの移民であり、年齢層は20~44歳が44%を占めています。このように比較的所得が高く、高い教育を受けた人が集まることで、サンフランシスコやストックホルムでは他の地域よりも失業率が1%程度低くなっています。また、投資用物件とした見た場合、バンクーバーの投資用不動産価格の上昇率は2015年で11%と魅力的です。
興味深いのはアメリカで、IT関連の業績と非常に相関係数の高いサンフランシスコの不動産市場は(NASDAQとの相関係数93%)、2012年にボトムを付けて以来73%も不動産価格が上昇し、アメリカ全体で31%の上昇に対して群を抜いています。 ちなみに、アメリカの不動産市場は、2008年以降のサブプライム問題を受けて暴落しましたが、その後は回復し、現在の不動産価格水準は、所得や家賃から見てフェア バリュー(妥当な水準)となっています。
その中にあって、世界で最も割高な都市はシドニーで、所得対比で40%、投資用の家賃対比で60%も割高です。また。 これに続いて割高なのが、ロンドン、そしてカナダのバンクーバーです。
英誌エコノミストは、こうした不動産市場の現状は、グローバリゼーションの影響で、人々の移住や不動産取得がこれまで以上に容易になったことが背景にあり、こうした傾向は今後も続くと指摘しています。かく言う私もグローバリゼーションの恩恵を受けて、こうしてオーストラリアで住まわせていただいています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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