2016/01/22 06:24 | 昨日の出来事から | コメント(0)
世界的な株下落の背景にSWFによる株売却?!
今年に入って、世界的に原油価格が大きく下落し、これにつられる形で世界の株価も下落しています。
確かに、今回の原油価格の下落は異常なまでに急激で、2014年には1バレル=110ドル台で取引されていた原油価格が、今年に入って一時的に27ドル台まで暴落しています(2014年に比べて4分の1近くまで下落)。
当然のことながら、これまでキャッシュ リッチ(Cash rich)国とされてきた産油国の財政は、そのほとんどを原油の売り上げに依存しているため、例えば世界最大の産油国サウジアラビアは、その90%以上を原油の輸出に依存しているため今回の原油暴落で大打撃を受け、2015年のサウジアラビアの財政収支はGDP対比で20%の赤字に陥りました(2016年は更に財政赤字が増大する見込み)。
そこで、彼らがとっている行動は、当然のことながら財政改革を進めなければなりませんが、これは時間と労力のかかる問題であり、足元的には、これまで貯め込んできた外貨準備金((SWF: sovereign wealth fund:政府系ファンド)として運用してきた資金)を取り崩しています。 ちなみに世界のSWFは2007年時点では2.5兆ドルあると言われていましたが、2015年では4.5兆ドルに達し、これらのほとんどは産油国を中心に、中国、シンガポール、ロシア、アメリカの公的年金基金などで構成されています。
英誌エコノミストによれば、今回の一連の原油価格の暴落で、サウジアラビアだけで、USD650bnあった外貨準備金の内、USD100bn以上も減少していると指摘し、その額は率にして15%以上にもなります。 また、最近のBBCによれば2015年第3四半期だけで少なくともUSD19bnの株式投資額がSWFから減少したと報道されています。
どうやら、今回の世界的な株価下落はヘッジ ファンド等が仕掛けた一過性のものではなく、原油価格などの下落によって財政が圧迫されたキャッシュ リッチ国が運用してきたSWFを現金化させていることがその背景にありそうです(逆の言い方をすれば、再びSWFによる資金が株式市場に流入するまでは、本格的な株価上昇は望めないということになります。もしくは、彼らに取って替わるニュー マネーが株式市場に流入する必要があります)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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