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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2009/09/27 18:41  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

鳩山内閣の2大臣の不気味な発言


おはようございます。

鳩山内閣が発足して1週間以上が経ち、具体的な政策や活動が見えてきましたが、いきなり不気味な話が出てきました。 

一つ目は、藤井財務大臣の円高容認発言です。 前回、藤井財務大臣が、財務大臣(当時は大蔵大臣)に就任したのが1993年の細川内閣の時で、このときは、世界が各国の不均衡是正するために適正な為替水準を模索過程の中での就任でしたので、当然、為替に対する考え方を世界は注目していました(あの頃は、フランスフラン、 ドイツマルクが流通し、今のユーロは存在していませんでした)。 

しかし、あれから15年以上たち、今の世界の関心は為替の水準そのものではなく、2008年のサブプライムローン問題、リーマンショックに端を発した金融不安、これに続く景気後退が関心であり、これらの副作用として為替が大きく変動するリスク(特にドルの暴落)が懸念材料である中、藤井財務大臣の円高容認発言は、まるで タイムマシンに乗って1993年に戻った気持ちになったのは、私だけではないのではないでしょうか。 

おかげで、為替市場では、こうした発言等をうけて、これまでサポートされてきた90円を割り込んできました。 そう言えば、1993年にそれまでの一党独裁の自由民主党政権から初めて野党の細川内閣が誕生し、円は、その時の藤井大蔵大臣(1993年8月9日―1994年6月20日)を経て、翌年1995年4月19日にドル/円の歴史的高値79.75円をつけたのでした(再来再現か?)。 今後、藤井財務大臣の発言には、注意が必要です。

2つ目は、亀井郵政金融担当大臣の中小企業、個人の借金返済猶予発言です。 これには、私は思わず、のけぞってしまいました。 「どうして、今、このタイミングでこの話なのか?」と。 

世界は、今、自国の金融システムの毀損をいかに修復し、通常の状態に戻すかに躍起になっている最中に、日本だけが、これから、わざわざ自ら進んで金融システムを毀損させる話に突き進んでいくとは、どういうことでしょうか? 確かに、日本の金融機関は、かつて投入された公的資金の大半を返済し、数々の合併統合を経て金融機関の過剰感は、かなり整理されましたので、そういう意味では他の国の金融機関対比余裕があるのかもしれません。

しかし、1990年代から2000年代にかけての金融機関の毀損修復プロセスとは、つまるところ、国民の預金金利を長期にわたりゼロにし、金融機関の利鞘を大きく確保することで得た収益で損失を補てんしたプロセスでもあったわけで、 もし、今後、債務者の返済猶予によって金融機関が毀損すれば、それは、再び、預金者が、本来、得るべき利子所得でもって(あるいは、もっと安く借りこととができた借入金利を引き上げられることによって)、返済猶予された債務者の支払金利を肩代わりさせられることになります(下手をすれば元本まで)。 

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One comment on “鳩山内閣の2大臣の不気味な発言
  1. ぺルドン より
    鳩2大臣

    亀さんの提起は、
    まだどの程度の金額になるのか?
    発表されてから呻いても、まだ間に合うのでは?
    今までに公金を飲み込みながら、銀行界は低利・無利子状態で濡れ手に粟の稼ぎ、
    だから、この程度は吐き出せ、と丼勘定の亀さん義賊法かも知れない。

    今の日本で円高か円安か?
    円高で確実に安くなる物があるのだから、
    歯を食いしばってGoGoではありませんか?
    付け馬の心配は止めましょう・・
    万事ケセラセラ

    御世が替わったのだから、
    一年年貢は免除ぐらいをしなくては・・庶民は実感しませんぞ・・

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