2015/08/18 05:13 | 昨日の出来事から | コメント(1)
アジア通貨危機再燃か?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
最近、アジア通貨の下落がしています。 特に、インドネシア ルピーとマレーシア リンギは下げ足を加速させており、 4年前には、1米ドルは8,500ルピーで取引されていましたが、現在は14,000ルピーと大幅な米ドル高ルピー安となり、この水準は1997年のアジア通貨危機以来の安値となっています。 また、マレーシア リンギも4年前には3リンギを下回る水準で取引されていましたが、今は4リンギ近くまで米ドル高リンギ安となっています。
また、他の発展途上国では、ブラジルやロシアはリセッションに陥り、トルコは景気の失速に加えて、ISとクルド人への攻撃によって政治的リスクが一気に高まっています。 また、チリ、コロンビア、メキシコの通貨も同様に下落しています。
こうした発展途上国の通貨安の背景には、彼らの主力輸出品である商品価格が下落している事、更には中国経済の失速が挙げられますが、そこにアメリカにおける政策金利の引き上げ期待が追い打ちをかけています。
特に、インドネシア ルピーと マレーシア リンギの下げが目立ちます。 今年に入ってそれぞれの通貨は8.4%、9.8%と大幅に下落し、同じASEANのメンバーであるタイ バーツの6.4%、フィリピン ペソの2,2%の下落に比べても際立っています。
その理由としては、タイやフィリピンでは輸出品の中にコンピューターなどの鉱工業製品が一定の割合であるのに対して、インドネシアでは、輸出の3割が原油であり、輸出全体の6割が資源関連を占めているからです。
そこでインドネシアでは、これに対抗すべく保護主義を打ち出し、コーヒーや車などの輸入品に関税をかけ始めています。 また、マレーシアに関しては、ここにきて外貨準備高がAUD100bnを下回り、市場内ではマレーシア政府は通貨防衛の為にリンギを切り上げるかもしれないとの思惑が出ています。
英誌エコノミストは、「問題は『こうした国々の現在の困難(通貨下落)が、どれくらいの期間続くか?』であるが、商品価格に関しては早期に上昇に転じると予想している市場関係者はほとんどいない。そこにFRBが政策金利を引き上げた暁には、状況は更に悪化するだろう」と指摘しています。
年末にかけて、世界の為替市場では一波乱があるかもしれません。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “アジア通貨危機再燃か?!”
パードゥン にコメントする コメントをキャンセル
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イギリスが金融国家になってから、英誌はそれを
サポートする役割になってしまったようですね。
ことさらに、不安を煽って、金融に儲けさせようとして
いる感じです。 豪ドルがさほど問題になっていないのは
イギリス連邦国にはヘッジファンドが手加減しているせい?