2011/09/30 05:37 | 昨日の出来事から | コメント(1)
豪、住宅価格は来年にかけて下落本格化の兆し
昨日、NAB(National Australia Bank)が発表した今後の豪の住宅価格の見通しは、「来年にかけて豪の住宅価格は本格的に下落であろう」との見通しを発表しました。
私達、日本人は、1990年代のバブル崩壊後、住宅価格の下落にはすっかり慣れっこになってしまっていますが、ここオーストラリアの人にとっては、30年以上も続いた住宅価格上昇神話が崩れようとしている事に戦々恐々としています。 といいますのも、かつての私達日本人がそうであったように、住宅を購入した際には、次に家を買い替える時には、キャピタルゲイン(売却利益)が必ずあることを前提に住宅ローンを組み、金利だけ支払って元本の返済をことを想定していない人が多い為です。
2007年以降に住宅を初めて取得した人の住宅価格は、全国平均で7.7%の元本割れを起こし、中でも私の住むクイーンズランドの下落率は13.3%と断トツです。 今年の始めに大洪水の影響もあるのですが、やはりそれまでが住宅バブルであった事も否めません。 例えば、手元に500,000ドルがあって、銀行に5年ものの定期預金をすれば5%近くも金利収益を得ることが出来たのに対し、住宅を購入して賃貸に出しても家賃収入は3%以下であり、ましてやローンを組んで賃貸に出せば利回りがマイナスになって投資対象にならないほど、住宅価格は割高な状態が長く続いたのでした。
そして、今、ムーディーズ等の格付け会社が、オーストラリアの銀行の住宅ローン債券が、担保割れを起こし始めているとして、格付けの見直しを検討しています。こうした一連の動きを見ていると、今のオーストラリアの金融を取り巻く環境は、1990年代始めの頃の日本のそれを見ている錯覚に陥ります。
それでは、オーストラリアも、今の日本と同様の経過を今後も辿るのでしょうか? 私は、経済の専門家ではありませんので詳しい事は分かりませんが、以下の2つの点で大きく違うような気がします。 一つは、オーストラリアはまだまだ人口が増加し、2050年にかけて現在の1.5倍まで人口が増える見込みである事、そして、もう一つは国家財政規律がしっかりしており、財政収支は若干の赤字程度にとどまっている点です。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “豪、住宅価格は来年にかけて下落本格化の兆し”
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80年代後半の日本では財政は黒字とはいかないまでもほぼ収支トントンであったと思います。国の信用力を今とは比べ物にならないくらい高かったように思います。確か邦銀の格付けは80年代は軒並みAAAだったように記憶してます。
一国でバブルが膨らんでいく過程では一般的に内需中心の好況が続き財政収支は黒転するのですが、その後の崩壊過程で赤点するのは古今東西同じだと思います。(2000年ITバブル期の米国しかり)
日本と豪州の違いという点では、経常黒字国か赤字国かという点が大きいでしょう。経常赤字国での住宅バブル崩壊は資産の裏付けである負債の調達環境を劇的に悪化させてしまうので、むしろ米国のケースに近くなるように思います。