2015/04/30 05:06 | 昨日の出来事から | コメント(0)
今後の日本株の行方はミセス ワタナベ 次第?!
今週号の英誌エコノミストに今後の日本株の行方に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存知のように、今月に入って日経平均株価指数は2000年以来15年ぶりに20,000円の大台に乗せ、甘利経済産業大臣はこうした状況に「現在の株式市場はミニバブルかもしれない」とコメントしましたが、 今後の株価動向については市場関係者の見方が大きく割れています。
確かに2013年のアベノミクスが打ち出された時には、いわゆる外人が大量に日本株を買い上げましたが、ここまでの上昇局面では彼らは逆に利益確定をしてポジションをかなり落としているようです。 と言いますのも彼らは今後のアベノミクスによる株価押し上げ効果について懐疑的だからです。
しかしその一方で、日本株はこの1年間において対米ドルベースで最もパフォーマンスの良かった株式市場であったことも事実で、Arcus ResearchのPeter Tasker氏は「市場から離れること(株を買わないこと)は、“苦痛”なトレードである」とコメントし、今後の株式市場に対して強気です。
これに対して国内の株式専門家の中には、1989年に日経平均株価指数が38,916円を付けた後の大幅な下落局面で、政府による株価下支え(いわゆるPrice Keeping Operation)があっても株価が大きく下落した事を取り上げ、今回の「GPIF(Government Pention Investment Fund)が株を買ったから株価が上昇する」といった考えに対して疑問を呈しています。
しかし、ゴールドマン サックスのKathy Matui氏は「とは言っても、GPIFによる株式購入で日本株が上昇した事は疑いのない処であり、また、今年の6月から導入されるCorporate Governance Codeが導入されることによって、企業はより株主に対して株の価値を高める事(株式の買い入れ消却や配当を高める事)が求められる」と指摘しています(その点において今後の株式市場に対してプラス要因)。
更に、CLSAのNicholas Smith氏は「(日経株価指数が20,000円を越えたと騒いでいるが)、Topixについていえば、現在の水準は(リーマン ショック前の)2007年当時の高値をまだ12%も下回った水準にとどまっている。 しかもその一方で、現在の企業収益は当時の企業収益に比べて13%も高いにもかかわらず」と指摘し、現在の株価水準はまだ割安であるとコメントしています。
最後に英誌エコノミストは「日本政府は、日銀に(量的質的金融緩和によって)発行国債の80%以上の買い入れとFTFやREITと言ったリスク資産まで買わせ、その後はGPIFの株式保有比率を世界標準まで株式比率をあげると称して日本株を買い上げさせ、そこに郵貯や公的年金、更には生保が追随し、今度はCorporate Governance Codeの導入によって企業にも株価上昇に加担させてようとしている。 しかし、これらの事をもってしても肝心のミセス ワタナベ(1,500兆円もの金融資産を保有している個人投資家)は、いまだに日本の株式市場に強気になることを躊躇っている」と述べています(と言うことは、まだまだ日本株には上昇余地がある?!)
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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