2015/04/28 05:28 | 昨日の出来事から | コメント(0)
オーストラリアの住宅が最も割高?!
先週号の英誌エコノミストに世界の住宅価格に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
まず、2008年のリーマン ショック以来最も住宅価格が上昇したのはブラジルで2008年対比200%の上昇となっていますが、ブラジルの場合はインフレ率も非常に高いために、単純に他国との住宅価格を比較するのは困難です。続いて香港の119%が上昇し、オーストラリア、カナダが30%の上昇と続きます。ちなみにアメリカは200年対比6%の上昇に留まり、日本は-1%となっています(これらの国は比較的インフレ率も安定しており、住宅価格の単純比較も可能です)。
次に、英誌エコノミストは、賃貸利回りからみた割高割安、更には所得対比における割高割安の分析を行っています。 まず賃貸利回りからみて最も割高なのはカナダの89%、そして香港の84%であり、それに続いて私の住んでいるオーストラリアの64%が続きます。
そして、所得から見た割高割安を見てみますと、何とやはり私の住んでいるオーストラリアが最も割高で39%となり、続いてカナダの35%が続きます。 確かに、今のオーストラリアの住宅市場の過熱ぶりは1980年代の日本の住宅バブルを彷彿させるものがあります。
1980年代の日本のバブル期当時、私の年収の5倍以内で買える不動産は、関東エリアでは、東は利根川の向こうから更にバスに乗るか、反対に西は相模湖近辺までいかなければならないか、あるいは北に向かえば東北本線の白河近辺までいかないと見つからない状況に、「持たざる者の敗北感」と強く感じました(今は、つくばエクスプレスもできましたし、JRの通勤接続が良くなって便利が良くなっていますが、当時はそうではありませんでした)。
今、これと同じことがオーストラリアでも起こっています。特に、外国人(主に中国人)がシドニーやメルボルンの不動産を爆買いし、オーストラリア人の若い世代が自分の年収の5倍でも通勤圏内に不動産が買えない水準にまで高騰してしまいました(1980年代後半の日本の土地バブルと同じ状況)。
こうした状況を受けて、政府は海外からの不動産取得に制限をかけ始めましたが、今度は、国内で既に不動産を所有していた人たちが、自分の不動産価値が大幅に上昇した為に所有不動産の担保価値が上がり、これを元手に更に不動産を取得する動きが活発化しています。特に、リタイアした年金暮らしの多くは、若い頃に自分の不動産を取得している為に担保価値が非常に高く、そこへ最近のRBAによる超金融緩和政策の煽りを受けて、金融資産の運用利回りが大幅に低下した為に、その資金が投資用不動産に大量に流れ込んでいるのです。
先日もタクシーに乗った時、シーク教徒のターバンを巻いたタクシーの運転手が(なぜか、オーストラリアのタクシー運転手にはインド系の人が多い)、「シドニーからブリスベンに引っ越してきたのだか、ブリスベンはシドニーに比べて不動産が安いねえ~。 シドニーに不動産を一件持っているが、ブリスベンで投資用不動産を探しているが、何処の物件がいい?」と話しかけられ、そういえば、1980年代の日本のバブル期にも同じくタクシーの運転手さんから「ワンルーム マンションを2つもっているが、もっと買いたい」と言っていた事を思い出しました。
誤解していただきなくないのですが、何もタクシーの運転手さんが不動産投資の話をしてはいけないと言っているのではありません。そうではなくて、(こちらから聞きもしないのにタクシーの運転手が自らの投資話を自慢げにする姿は)「明らかに、今のオーストラリアの不動産市場は、私たちが1980年代に経験した「あの忌まわしいバブルと同だ!」ということを言いたのです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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