2015/04/07 05:12 | 昨日の出来事から | コメント(0)
先送りされるTPP?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
最近、TPP交渉に関する話題がないとお感じの読者の方も多いと思います。 実は、この背景には、2016年までの任期をあと1年しか残していないアメリカのオバマ政権がこれを成立させるのが政治的に困難になりつつあることが挙げられます。 と言いますのも、野党共和党の反対もさることながら、与党である民主党の中にも反対する議員が多く、今のオバマ大統領にはこれらを押し切る力と時間がないのです(それどころか、大統領就任時に、鳴り物入りで成立させたオバマ ケア(新しい医療制度)を廃止する動きが活発化する有様です)。
そこに加えて、読者の皆様もご存知のように中国が提唱してきたAIIB(Asia Infrastructure Investment bank)設立に関して予想以上に多くの国が参加した事で、アメリカとしては今後のTPP交渉の進め方そのものの見直しを迫られています。
そもそもTPP交渉は全世界のGDPの40%を占める太平洋に面した国々が参加し、ペルーやベトナムなどの発展途上国からアメリカ、日本、オーストラリアを含む先進国11か国の貿易の枠組みを包括的に纏める条約であり、いわゆる20世紀のWTO(世界貿易機構)にとって代わる「21世紀の新しい貿易の枠組み」とも言えます。
処が、以前に、このコーナーでも指摘させていただきましたが「現在のTPPの枠組みには中国と言う大国が欠落しており、中国抜きのTPP交渉成立はあり得ない(意味がない)」といった問題が残ったままなのです。 中国のTPP参加に関しては、中国企業の透明性の問題(どの程度、国が関与しているのかはっきりしない問題)がありますが、それを言えばベトナムの企業の多くも国営であり、ベトナム企業の透明性(国の関与)もはっきりしません。
英誌エコノミストは、「オバマ政権下でのTPP妥結の可能性もまだ残されているが、現実的には2017年以降の新大統領の誕生を待たなければならないだろう。 その一方で、中国がTPPに参加するかどうかは中国の判断次第であり、今回のAIIBも含めた一連の動きは、どうやら中国の勝ちのようである」とコメントしています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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