2011/09/29 05:35 | 昨日の出来事から | コメント(1)
狙い撃ちされる香港ドル!?
先週号の英誌エコノミストは、「歴史的には、通貨統一あるいは通貨ペッグ(固定)構想は、全て破綻してきた歴史であった」とし、例えば、かつてのソビエト連邦のルーブルは、地域毎の経常収支があまりに違いすぎた為に、最終的にはソビエト連邦を経済的に破綻させ、 また、チェコとスロバキアの通貨統合は僅か数週間で破綻し、また、アルゼンチンの様に他の国の通貨と固定させるペッグ制も破綻したとしています。 そして、今回のヨーロッパの通貨ユーロも同様のプロセスを辿っていると指摘しています。
こうした歴史から学ぶ教訓は、それぞれの民族が運営する経済、あるいは地域毎に格差のある経済を一つの通貨で統合する事は不可能であり、言葉を換えれば、本来、通貨が持っている通貨調整機能(通貨間の交換レートの変動によって経常収支の格差が調整される機能)を放棄してはならないという事です。
そして、今週号の英誌エコノミストでは、今、ヘッジ ファンドが、こうした教訓から次は「香港ドルの米ドルペッグ制がいずれ破綻する」との相場観の下、香港ドルのコール オプションの買いを大量に積み上げていると紹介しています。
香港ドルは1983年以来、1米ドル=7.8香港ドルのペッグ制を採用しており、2005年には7.75ドル〜7.85ドルの目標相場圏制度に移行しましましたが、実質的には1米ドル=7.8ドル±0.05ドルの固定相場制です。
そこへ、最近のアメリカ経済の低迷と、それとは裏腹に香港は低い失業率の下、経済は非常に好調で、本来ならば、香港ドルが対米ドル対比で買われていいはずなのに、 香港ドルが実質的な米ドルペッグ制を採用している為に、香港ドルが非常に割安になってしまっているのです。
これに目をつけたヘッジ ファンドが、「いずれ、香港ドルの米ドルペッグ制は崩壊する」と見込んで、1米ドル=7.5のコール オプションを大量に買っているというのです。
こうした取引は非常に理にかなった取引であり、いずれヘッジ ファンドに軍配が上がりそうですが、問題は、香港当局が、何処まで粘り腰を見せて今の7.75ドル〜7.85ドルの目標相場圏制度を持ちこたえさせることが出来るかにかかっており、今後のヘッジ ファンド対香港当局の我慢大会に目が離せません。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “狙い撃ちされる香港ドル!?”
ベルドン にコメントする コメントをキャンセル
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
元切り上げを迫られる・・中国・・
香港ドルが間道ならば・・
香港=中国連合が相手・・
どうでしょうか・・・?