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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/09/28 06:30  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

当世、ヘッジ ファンド事情


おはようございます。

今週の英誌エコノミストに、現在のヘッジ ファンドに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

それによれば、2010年8月時点の世界のヘッジ ファンドの規模は1.8兆ドルあり、かつては、マクロ ヘッジ ファンド(ファンダメンタルズ的な思惑で、投機的にアウトライトで買ったり、売ったりするファンド)や、アービトラージ ファンド(マーケット間、あるいは、同じ市場内のおけるセクターや銘柄間の割安、割高を売り買いするファンド)が主流を占めていました(ちなみに、今年に入ってからのこれら旧来型ヘッジ ファンドの平均的なパフォーマンスは、プラス1.3%でした)。

一方で、1990年代に入って、M&A(merger & acquisition)ファンドが、大きく成長しましたが、御存じのように2008年のリーマン ショックで瀕死の状態に陥りましたが、ここに来て改善してきています。 また、最近では、 それまでのM&Aファンドとは違って、Merger -Arbitrage Fund (合併裁定ファンド: 企業同士を実際に合併させて企業価値を上げる、あるいはそうした合併で利益の上がる銘柄を市場に知らしめて(実際には何もしないで)利益を上げる)ファンドが、比較的好調です(今年に入ってからのこうしたファンドの平均的パフォーマンスはプラス3.4%と、旧来型ファンドに比べて好調です)。

更に、最近の傾向としては、これまでは、先進国内でのMerger – Arbitrageが主流でしたが、エマージング マーケットでのMerger – Arbitrage へと触手を伸ばしてきています(今年に入って30%のディールはエマージング マーケットのよるもの)。 当然のことながら、エマージング マーケットは、市場規模が小さい上にボラティリティ(値ブレ)が激しく、僅かな買い入れでも大きく値段が動いてしまいます。

従って、より高いリスクを取ることで高いリターンを約束したにもかかわらず、実際の利益は約束した利益よりも低くなる傾向になっています(リスクに見合ったリターンが取れない)。 
ある年金のファンド マネージャーは、 「merger – arbitrage fund は、晩餐のディナーで注文することはあっても、メイン ディッシュでは欲しくない」と、英誌エコノミストは紹介する一方で、「過去2年間の金融危機を除いたとしても、これまでにどれだけ多くのファンド マネージャーが(運用パフォーマンスが上がらずに)死んでしまったかを考えれば、きっと、今後は、喜んでこれ(merger – Arbitrage fund)を、メイン ディッシュする(ファンド マネージャー)もあらわれるであろう」と指摘しています(人間の慾は尽きない!)。

(尚、昨日、中国の外貨準備残高を2009年6月時点では2.1兆ドルとご紹介しましましたが、最近のデータが分かりました。2010年6月時点で2.45兆ドルとなっています。)

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One comment on “当世、ヘッジ ファンド事情
  1. ぺルドン より
    事情

    河豚は・・
    食いたしか・・・

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