2015/01/27 05:47 | 昨日の出来事から | コメント(1)
秒読みに入ったギリシャのユーロ離脱?!
先週号の英誌エコノミストに、1月25日のギリシャ選挙に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います(この記事は選挙結果のでる前の記事です)。
読者の皆様もご存知のように、今回のギリシャの総選挙では、2012年のギリシャ財政危機の際にEUとIMFから財政支援を受けるかわりに厳しい緊縮財政(増税、公務員の削減、最低賃金の引き下げ等)を受け入れた前政権の政策を見直すことを公約に挙げた急進左派連合(SYRIZA)が大勝しました。
これによってギリシャのユーロ離脱の可能性は以前に比べて高くなりましたが、ギリシャ国民の75%は引き続きEUの留まる事を希望しています。 その一方で、西ドイツを中心とするEU加盟国は、表向きは「ギリシャのユーロ離脱はあり得ない」としながらも、2012年以降はかかる事態(ギリシャ離脱の可能性)に備えて着々と準備をしてきたことも事実です。
IMFが試算したところによれば、もし、ギリシャがユーロを離脱して元の通貨(ドラクマ)に戻した場合、そのドラクマの価値は、現在、ギリシャで流通しているユーロの価値の35~50%下落するとされています(こうした事もあって、ギリシャでは先週から国内預金の海外流出が加速しています)。
また、実務的には、新しい通貨が国内に流通するまでに数か月の期間が必要であり、その間の国内経済は非常に混乱に陥ることが予想されます。 更に、ギリシャ国内の企業が受けている外国銀行からの借り入れ見直し交渉は、その法的手続きにかなりの時間を要し、新規の海外からの借り入れに至っては完全に停止する可能性があります。
その一方で、新しい通貨ドラクマによって通貨価値が大きく下落したことによって、ギリシャの国際競争力(特に観光産業や労働賃金)は大きく改善し、ギリシャ経済が回復可能性もあります。 このような大胆な経済改革による経済の立て直しの例としては、かつてアルゼンチンが採用していたドルペッグ制から変動為替制に変更した事によってアルゼンチンの国際競争力が回復した例があります。 しかしこのときは、世界的な商品価格(農作物)の高騰によって助けられた部分も大きく、これと同じことがギリシャに当てはまるとは限りません。
英誌エコノミストは「EUの政治家は、2012年のギリシャの総選挙で保守政権が勝利した時にはギリシャを「仕方なく」支援せざるを得なかったが、今回の総選挙で極左政権が成立する事で「これ幸い」にGrexit(ギリシャのユーロ離脱)もやむなしと考えている節がある。 確かに、ギリシャのみがEUから離脱しても、EUとしては既にギリシャのユーロ離脱に対する準備もかなりできているので、EUにとってはその混乱は限定的かもしれない。 しかし、本当のリスクは、ギリシャ離脱そのものにあるのではなく、これまで先送りしてきたユーロの政治的な統合がなされてこなかったことにあり、今後、このリスクが顕在化した時には、彼らが望まない事態(例えばギリシャに続いてスペインが離脱する)が起きる可能性がある」と警告しています。
ちなみに、ギリシャの今後の資金繰りとしては、2月に2012年に行われたギリシャ救済プログラムの期限が来ます。 そして3月にはIMFからの長期債務の返済期限が来ます。更に、6月以降はECBが保有する国債の償還期限が次々に来ます。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “秒読みに入ったギリシャのユーロ離脱?!”
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神風・・
イスラムテロに採用され・・生き続けている・・
バンザイ突撃・・
ギリシャで採用され・・
欧州で・・生き続けるか・・?・・・(笑)