2014/11/14 14:39 | 昨日の出来事から | コメント(0)
英誌エコノミストのみた黒田バズーカ2
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
(尚、この記事は、消費税先送りと解散総選挙の話題が出る前の時点の論評です)。
まず、英誌エコノミストは、今回の黒田バズーカ2と言われる大胆な量的金融緩和政策については、これまで20年にわたり、あまりにも小出しに金融緩和し過ぎたためにデフレからの脱却ができなかった過去の経緯を踏まえると、妥当な判断であると評価しています。
そうはいっても、日銀の毎年の国債買取り額は日本のGDPの8%を超え、その買取り残高はGDPの50%以上にまで膨れ上がり、アメリカのFRBやECBの買取り残高がGDP対比20%程度であることからして、断トツに大きいことがわかります。 その一方で、政府の毎年の国債発行高は、GDP対比6%にのぼり、また、その発行残高は日本のGDP対比240%にまで達しています(財政破綻常習国であるギリシャや南米の国々と比較するのは妥当ではありませんが、いずれにせよ、これらの数字は異常です)。
さて、黒田バズーカ2のおかげで、為替は一気に115円台まで円安になりましたが、英誌エコノミストは「こうした円安の恩恵を受けるのは主に大企業であり、日本の多くを占める中小企業はその恩恵にあやかれるどころか、輸入価格や原材料費の高騰で不利である。その証拠に、彼らの実に80%の経営者が、為替水準は109円以上の円安は望んでいない(現在は既に115円台まで円安が進行)」と指摘しています。
その一方で、政府側の財政規律の回復や成長戦略に不可欠な自由化や構造改革は実に遅々として進んでいません。 特に財政改革については、2015年に消費税を10%に引き上げることが法律で決まっていますが、本当に財政赤字を均衡させるには、消費税を20%まで引き上げる必要があります(毎年1%ずつ12年間にわたり引き上げる必要がある)。
英誌エコノミストは、「今、日本に必要なのは、大胆な金融緩和と大胆な構造改革、そして財政規律に対する警戒が必要であり、これは非常に繊細な作業である。 それにしても、今の日本の置かれている状況は、実に繊細な状況におかれている」と警告しています(「繊細」というよりも「際どい」というべきか)。
そんな際どい状況に置かれている日本にあって、今回、安倍政権は、2015年10月の消費税再引き上げを先送り、衆議院解散総選挙に持ち込もうとしています(更に際どい状況を自ら作り出しています)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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