2014/10/28 14:39 | 昨日の出来事から | コメント(2)
デフレの崖っぷちに立つユーロ
今週号の英誌エコノミストは掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
この問題は、何も今回に限ったことではありません。 これまで本誌は機会がある度にこの事を取り上げてきましたが、いよいよ危機が差し迫ってきた為、今回は特集を組んだようです。
とはいっても、私たち日本人は1990年代から約20年にわたり、デフレスパイラルの中で暮らしてきた実績があるので、「ユーロのデフレもそのうち何とかなるだろう」と楽観的に考えがちですが、英紙エコノミストは、「ユーロのデフレは日本のデフレとは違う」ことを強調しています。
その理由は、「ユーロは、日本のような単一民族でもなければストイックな社会でもない。 また、中国やあアメリカのように単一で独立した経済圏を運営しているわけでもない。 つまり、ユーロは、何年もの長期にわたる経済的な硬化(景気低迷)や価格下落には耐えられない」と指摘し、「(もしそうした事態になれば)、イタリアからギリシャに至るまで財政負担が急増し、投資家はこうした国への投資を引き上げ、挙句に極右的な人気取りの政治家が国民から支持を得て、早晩、ユーロは崩壊してしまう」からです。
更に、「もし、ヨーロッパの企業や人々に将来的な物価下落心理が浸透すると、人々は消費を控え、その一方でローンは負担増となって債務不履行が多発し、それは1930年代初めにドイツで起こった結果(世界恐慌)と同じ結末を迎えるだろう」としています。
今、ユーロの物価状況は、インフレ率がわずかに+0.3%であり、このままでは来年にはマイナスになると予想されている。また、イタリアやスペインの若者の失業率は40%に達し、ギリシャの10年国債の利回りは再び上昇している(価格は下落)。
こうした事態に対し、英紙エコノミストは「まだ、今なら救済策はある」としています。 「それは、まず、ドイツやフランスの財政赤字削減を現時点では推し進めるべきではない。また、ECBは、市場から特定の国の国債を買うことは禁じられているので、例えば域内の鉄道網を整備するための債券を発行し、これを市場から買い取れば、資金を市場に大量に注入することができる。 更に、様々な規制緩和、特に労働市場の規制緩和を押し進めなければならない」としています。
思えば、2012年のギリシャ危機がヨーロッパを襲った時に行った様々な救済措置や対策は、あくまでも単一通貨ユーロを維持する為に時間を稼ぐ為の言わば緊急措置でした。 その後のEUは何もしなかったわけではありませんが、ユーロ改革は遅々としたものであり、そこへ今回はデフレ危機が目前に迫ってきているのです。英誌エコノミストは「ひとたび、ユーロがデフレに陥ると、これを振り払うことは非常に難しい。 ヨーロッパのリーダーたちに残された時間はもうほとんどない」と締めくくっています。
2012年のギリシャ危機が「ユーロ冬の陣」であるとすれば、今回はいよいよ「ユーロ夏の陣」という処でしょうか、、、。 ちなみに、大阪夏の陣で豊臣家は滅びました。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “デフレの崖っぷちに立つユーロ”
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何処が・・
攻めてくるのですか・?
徳川プーチン・・でしょうか・?
ヒドラのようなユーロ・・
なびきそうで・・なびかない・・ヘレナ・・
口説き落とすのに・・まだまだ・・時が・・
ときが滴る・・とは・・イカナイのでは・・・?(笑)
デフレで企業は鍛えられる、企業が変わる、EU経済も大きく変わる、欧州人は変わる以外に方法がないことぐらい知っているはず、デフレは自然の摂理だ。