2014/09/30 16:38 | 昨日の出来事から | コメント(2)
「パルサラの破産確率」論
今月、9月13日にぐっちーポスト経済講演会で、ぐっちー編集長の講演の前座としてお話をさせたいただいた際、
ご参加いただいていたハンドル ネーム「夏の空」様から、(1)勝率と(2)ペイオフ レシオ(私は講演の中でペイ アウト レシオと表記しましましたが、正しくは ペイオフ レシオです)、 そして(3)リスクにさらす資金の割合、に関するご質問を受けました。
「夏の空」様からは、私が講演会でお出しした表のアルゴリズムをお尋ねでしたが、 もっと包括的に解説した考え方として、ナウザー・バルサラという数学者が考案した「パルサラの破産確率」の中で、この辺りのことは詳しく説明されています(出典:「ナウザー・バルサラの「マネーマネジメントストラテジーフォーフューチャーズトレーダーズ(Balsara, Nauzer: Money Management Strategies for Futures Traders, John Wiley & Sons, New York, 1992) 」。
また、これに関する計算ソフトも「パルサラの破産確率」で検索していただきますと出てきますのでご参照ください。
さて、ここでいう処の「パルサラの破産確率」が表しているのは何かといますと、ある一定の資金をリスクにさらした際、「勝率とペイオフ レシオ」によって、統計的にどのくらいの割合で破産するかを計算したものです。
下の表の例では、リスクにさらす資金の割合を1%にした時、縦軸に勝率を並べ、横軸にペイオフ レシオを取った場合に、統計的に破産するリスクを示したものです。 100%とあるのは確率的に破産することを意味し、0%とあるのは確率的に破産しないことを示しています。
かなりの部分(オレンジのゾーン)で破産してしまうことがわかります。
実は、このあたりのことは、来年の講演会でお話する予定でいました(失笑)。
このあたりの詳しいところは来年の講演会でお話するとして、 ここからわかることは、講演会もお話したように
(1) 破産せずに、売買を持続維持可能となる「リスクにさらす資金の割合」は、一般的に考えている資金の割合よりも非常に小さい。
(2) 勝率が50%で、ペイオフ レシオが1(儲けと損の比率が同じ)であれば、一般的には手元資金が減らないと考えられるが、実際は破産してしまう(表中の確率0.5、パイオフ レシオ1の欄をご参照ください)。
(3) 世間で言われている「勝率が低くても、1回の儲けが大きければ、最終的に設けることができる」という話は、ペイオフ レシオが4以上(平均的な儲けの額が、平均的な損の割合の4倍以上)なければ、確率として破産してしまう。
ということがわかります。
(嗚呼、来年の講演のエッセンスを全部言ってしまった!(笑))
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2 comments on “「パルサラの破産確率」論”
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いちFANにしか過ぎない者の不躾なお願いに、詳細な御回答をいただき、誠にありがとうございます。
実は質問させていただいた後は、ほぼ毎日、最新の「今日の出来事から」と9月12日の同コメント欄などを見ていたのですが、つい最近は土日も忙しいような状況で、気づくのが遅れまして、大変失礼いたしました。
良~く、本文を研究させていただき、立派な計算表を完成させたいと存じます。
感涙モノです。 本当にありがとうございました!
…えっ!?来年の講演!?
前橋さんからもそのような発言が出るということは、来年の講演もほぼ確定で「有る」ということですね? (90%が99%くらいに上がった感じです ←ぐっちーさんへの配慮の文w) 期待しています! なんかもう、お年玉をもらった気分になれましたwwwww
いつもお世話になります。
また、この度は、ぐっちーさんにご配慮いただきありがとうございます。
はい、今回の件では僕も非常に心を痛めています。
ですが、これは僕が勝手に(?!)思っていることですが、 「今回の件が落ち着けば、ぐっちーさんは皆様の為にますます、頑張られるに違いない!」と確信しています。
だって、ぐっちーさんって、そういう人でしょ?!!
今後とも、ぐっちー ポストをよろしくお願い申し上げます。
前橋 拝