2014/09/19 15:20 | 昨日の出来事から | コメント(0)
日本だけが変な国ではない!?
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
これまで10年以上に亘って、日本だけが先進国の中でデフレに陥り、低成長の下、債券市場では超低金利で推移していると考えられてきた。 エコノミストたちはこうした日本の状況を、こぞって高齢化社会、あるいは保守的な金融政策、更には時代遅れのビジネスモデルのせいだと説明してきた。
しかし、最近のヨーロッパの現状は、まさに日本のそれに近い状況である。現在のヨーロッパのインフレ率は、年初来僅かに+0.3%であり、成長率は1%もしくは以下であり、こうした事を背景にドイツとスイスの10年債金利は1%を割り込んでいる。 ソシエテ ジェネラルのストラティジスト Albert Edwards氏は、これを「氷河期」と名付け、先進国全体に広がると予測している。
その中にあって、一つの例外の国があり、それは、取りも直さずアメリカである。アメリカの10年債とドイツのそれとのスプレッドは1999年にユーロ発足以来最も高い1.5%台まで金利差が広がっており、株式市場においても、景気循環勘案後のPER(Price-earning ratio)は、ヨーロッパでは14.7であるのに対して、アメリカのそれは25.7と非常に割高になっている(この割高の高さは、世界恐慌の年の1929年、アジア金融危機の前年である1996年、そしてITバブル崩壊の年の2002年以来の水準である)。
では、この現在のアメリカの例外は、一体、何に起因しているのであろうか? シェールガスなどの豊かなエネルギー資源に下支えられた経済成長と他の地域よりも高い人口増加のせいであろうか? それとも、アメリカといえどもいずれは日本やヨーロッパと同じ運命(超低成長の道)をたどるのであろうか?
この問いかけに対する答えの一つとして、Northwestern UniversityのRobert Gordon氏は「確かに足元の経済成長率は+4.2%(2014年第2四半期)であり、失業率も大幅に低下して、1990年台の栄光のアメリカが復活したように見える。 しかし、実際のところは、失業率が低下したのではなく、労働参加率が低下したに過ぎず、今後のアメリカの経済成長率は過去40年間の平均的な+1.3%生産性を維持できたとしても、僅かも+0.9%の成長率に留まる」と指摘しています。また、IMFも今後のアメリカの成長率は、これまでの3~3.5%成長から2%程度の成長まで低下すると予測しています(それでも、ヨーロッパより非常に高い水準)。
また、「景気循環勘案後のPER(Price-earning ratio)が、過去に何度か起きた暴落前夜の水準まで高くなっていることからして、これ以上買い上がるのは危険だ」との考えもあります。
しかし、その一方で、モルガンスタンレーによれば、「今後5年間は、シェールガス開発によるエネルギー資源価格の引き下げ効果により、アメリカは、今後5年間にわたり経済成長を続け、S&P500指数は、現在の2000ポイント辺りから3000ポイント近くまで上昇するだろう」と予測しています。
英誌エコノミストは、こうした議論に対して「結局のところ、アメリカ経済は、Gordon氏が提唱するほど弱気になる必要もなければ、モルガンスタンレーが予測するほど超強気になる必要もない。 確かに、今のアメリカは例外的存在である。 しかし、マーケットが考えるほど例外的存在でもないのではないか」と締めくくっています。
私自身は、モルガンスタンレーの株価予想に近いのですが、、、、
(と言いますか、「そうあってほしい」との願望に過ぎないのかもしれませんが)
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