2014/07/18 15:50 | 昨日の出来事から | コメント(0)
現在の株高はリーマン ショック前夜と同じ?!
ここの処、NY株式は史上最高値を更新していますが、英誌エコノミストは、市場参加者の中には。一部現在の株高はリーマン ショック前夜と同じ如教である警戒しています。
現在の金融市場は、2007年のリーマン ショック前と同じようにクレジット マーケットにおける国債とのスプレッドは非常に小さく、また、当時と同様に住宅価格は上昇し、企業買収も非常に盛んです。 そして、株式市場市場については、今年に入って30%以上も上昇し、しかも当時と同じようにボラティリティは非常に低位で推移しており、 2007年のリーマン ショックが起きる前の状況に非常によく似ています。
ただ、あの頃と違う事と言えば、東ヨーロッパにおけるウクライナ情勢があり、中東ではイラク紛があって、石油価格が大幅に上昇しています、 更に、今は、当時と違ってヨーロッパ経済はは低迷し、ドイツのビジネス信頼感指数が6月ぶりに低い水準に留まっているくらいである(それ以外は2007年のリーマン ショック前夜と変わらない)。
Bank of America Merrill Lynchの調査によれば、アメリカの機関投資家は48%も株式投資にオーバー ウエイトしており非常に強気です。 その一方で、現在の株価水準は、企業収益から見て15%も割高な水準で推移しています。 また、債券市場においても、アメリカの景気から見て株式市場同様に割高な水準で取引されています(その意味で、投資家は2重(債券、株)に割高なものに投資しています)。
現在の株式市場が割高に推移している理由の一つに、企業による自社株買い入れが挙げられます。 アメリカでは、企業による自社株買い入れは非常に盛んで、昨年のその額は年間USD400bnに上り、規模にしてアメリカのGDPの2.5%を占める程です。 当然のことながら、こうした自社株買い入れによって、1株当たりの収益は上がり、そのことが株価上昇を正当化させています(強気要因)。
その一方で、ソシエテ ジェネラルによれば、アメリカの企業全体では、手元資金差引後の借入残高は前年比14%も増加し、その額はUSD2.3兆ドルに上り、この水準は2009年以来の高水準となっています(弱気要因)。
また、アメリカの企業収益は失速してきており、Bureau for Econ0mic Analysis(BEA)に依れば、今年第1四半期のアメリカの企業収益は前期比USD198ドルも減少し、手元資金もUSD120bnも減少しています。 また海外からでの企業収益もUSD26bn減少しています(弱気要因)。
更に、エール大学によれば、「投資家はこうした株式市場の割高な状況を無視し(あるいは目をつぶり)、今年には企業収益は改善すると期待しているようで、彼らも今年末の株価予想は、今後、更に9%上昇すると期待している、 しかし、このような株価水準は、景気循環調整後の歴史的な企業収益に対する株価指数の16.5に対して25.6となり、非常に割高なものになる」と警告しています(弱気要因)。
その一方で、強気要因としては、FRBの金融政策に関して言えば、現在はテーパリング(国債買い入れの縮小)を行っているが、政策金利の引き上げはまだまだないとしています。 更に ヨーロッパしかりであり、日本銀行に至ってはいまだに資金供給を増加しています。 唯一、イギリス中銀が今年後半に政策金利の引き上げの可能性があるくらいです。
以上のように、強気要因、弱気要因、それぞれの言い分はあるようです。 そして、ヘッジ ファンドのように、強気、弱気どちらでもよく、ともかく値段が動いてほしいと願っている市場参加者は、 2007年のリーマンシックのような暴落を懐かしんでいる向きもあります。
英誌エコノミストは、こうした状況を踏まえて「多くの投資家は、これまでうまくいている投資戦略を現時点で放棄する気もなければ、保有株式を売却する気もなさそうだ。 しかし、それは何も投資家が相場に対して強気なのでは決してなく、 他に投資するものがないから保有しているだけのようだ」と述べています。
かつて私がトレーダーだった頃によく言われていた事ですが、「パーティの後(暴落)が怖くてパーティ(上昇相場)に参加しなのはバカだ。 だが、その一方で、パーティ(上昇相場)がいつ終わるかどうかは、誰にもわからない」のです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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