2014/05/20 14:49 | 昨日の出来事から | コメント(4)
オーストラリアの所得格差事情
先日、OECDが発表したOECD加盟国の個人所得格差に関するレポートが発表され、その中でオーストラリアに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
それによりますとオーストラリアは過去15年に亘り、平均3%の所得増を享受し、OECD加盟国中、アイルランドに次いで高い水準となっています。 これは鉱山資源関連輸出を中心とした経済成長が20年以上も続いた為に一人当たりの所得は大幅に増加し、金利及び税金支払い後の可処分所得ベースでは、アメリカ、ルクセンブルグ、ノリウェーに次いで4番目に高い水準となっています。
また、階層別に見て見ますと、全所得者の内、所得の低い方の人20%の平均所得水準は、OECDの平均、及びアメリカのそれを上回って、OECDの中では9番目の高さとなっていますが、実は、彼らの所得の71.6%は政府からの補助金で賄われており、OECD加盟国の補助金の平均56.9%よりも手厚い補助のおかげなのです。
といいますのも オーストラリアでは、全所得者の内、所得の低い方から20%の人が得る所得の割合は全所得の16.6%と非常に低く、OECD加盟国の同41.2%の半分にも満たないのです。 背景にあるのは、アボリジニなどの原住民の多くは殆ど仕事がない為に政府からの補助金生活者であること、また、この15年の間に、資本家や富裕層は鉱山価格や株価の上昇で所得を大幅に増やした一方で、中間層の所得が減少していることが挙げられます。 そのことは、所得全体の60%を占める中間所得層の割合が、1990年代の54.2%から現在の52.4%に減少していることからも窺えます。
最近、オーストラリアでは膨れ上がった国の借金を削減するために、増税あるいは低所得者に対する国からの補助金を削減する予算が発表されました。 こうした増税と補助金削除に反対する人たちは、連日、抗議行動を起こし、「国の借金を減らすために、増税し、補助金を削減するのはやむを得ない。しかし、問題は、間違った人から税金を吸い上げ、本当に必要な人の補助金を削減している!」と叫んでいます。
「取りやすい者から税を取り、弱き者から切り捨てる」は、古今東西を問わず同じでございます。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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4 comments on “オーストラリアの所得格差事情”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
アボリジニの一部の作は芸術的ですが、実際の評価はどのようですか?
例外的に高所得を稼いでいますか?
オーストラリアの共通の独自芸術という位置づけになって、大都市の美術館に入ったりしていますか?
なかなか、行く機会がないものですから、現地情報を教えてください
当然・・
日本より・・有利の筈・・
増税・・渋面・・
されど・・ここには住めないと・・出戻りする・・程じゃ・・・(笑)
いつもお世話になります。
アボリジニ(原住民)の芸術に関しては、そもそも彼らの作品に芸術性を見出したのは、西洋人の価値観からであり、その意味で彼らアボリジニの作品の価格決定権は西洋人が握っています。
そもそも、こうした表現(絵画)は、かれら原住民の日々の行いや伝統から生まれ出たものであって、西洋人の価値観とは全く無関係なものであり、そこに「いくらで売れる?」といった俗物性はありません。
それを西洋人が二束三文で買い取っては土産物として観光客に売りつけたり、多少マシなものはレストランの壁や公共施設に展示しているだけです。 中には、1つの作品で数千万円もの値段のついた画家もいますが、それは極めて稀です。
もっとわかりやすく私たちに身の回りの出来事で例えれば、北海道の原住民アイヌ人の作品(絵画や彫り物)を想像してみてください。
彼らの作品には非常に高い芸術性がありますが、だからといって、これが日本を代表する芸術にはなっていません。 また、こうした作品を創作することで大金持ちになったアイヌ人も私は知りません。残念ながらそれらの多くは、北海道の土産物屋に並ぶ程度であり、しかも、その売上の多くは、作った人に渡るのではなく、それを買い取り、他人に売りつけた人の懐に行くのです。
これは、何もアボリジニやアイヌに限らず、絵や彫刻などあらゆる作品を作る人、全てに当てはまることでもあります。
多分、おっしゃるように民芸運動家が集めた時点では安価だったでしょうね。
公平性でお金が使えるのは、2代3代のボンボンで、時々、篤志家として戦前はでたのですが、今は成金が主なので再び難しくなってきましたね。
版画家の棟方は方向性をつけてくれる先生に出会ったラッキーがあったからと、同じようにアイヌやアボリジニにも、指導者が必要なのでしょうね。
グッチーに頑張ってもらいますか(笑)
メキシコは国民芸術のような感じでうまくやっているような気もしますが、これまた行ったことがないのでどなたかご存知ならば。