2014/05/15 14:42 | 昨日の出来事から | コメント(2)
中国のシャドー バンキング
今週号の英誌エコノミストにシャドー バンキングに関する特集がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様にとって、「シャドー バンキング」と言えば、まず、今、問題になっている中国のシャドー バンキングを思い起こされると思います。 確かに、今回の特集では、中国のシャドー バンキングを取り上げたものですが、そもそもシャドー バンキングとは、当局の規制監督の対象にならない会社が、貸金や決済業務を行う事であり、「中国のシャドー バンキングとは一体どういうものだろう?」と疑問に思わずとも、私たちは、これをよく知っています。
といいますのも、1980年代から1990年代の日本で、ノンバンクと言って住専、リース会社、信連、農協といった当局の規制監督対象にならない様々な会社や組織、団体が、自分で調達した資金、もしくは銀行から金を借りて大量に不動産会社や個人に貸し出して未曽有の土地バブルや住宅ブームを引き起こしました。 当時の異常さを表す話として、読者の皆様はきっと笑うと思いますが、当時の不動産評価額で日本という国を全部売ることが出来れば、そのお金でアメリカ全土が買えるほどまで、見かけ上の日本の土地価格は上昇したのでした(そんなアホな!)。
そうなのです、そんなアホな話がまことしやかに流れたのがこの時期であり、その話の結末は皆様もご存じの通りです。 バブル崩壊後の土地の評価額は全国平均で3分の1以下(物件によっては10分の1以下)、 日経平均株価は5分の1以下まで下落し、これらを担保に金を借りていた企業や個人が一気に担保不足に陥り、これらに金を貸していた金融機関やノンバンク企業は大量の不良債権を抱え、これを償却もしくは引当金を積んだ為に赤字決算となって資本金が不足し、資本を確保できなかった銀行や証券会社がバタバタと倒産したのが1990年代後半の日本の金融不況でした。
さて、今回の世界中に広がっているシャドー バンキングの規模ですが。イングランド銀行のFSB(Financial Stability Board)によれば、10年前には残高が26兆ドル(日本で約2600兆円)でしたが、2013年初めには71兆ドル(日本円で7100兆円)にまで膨れ上がっています。
中でも、その中心的存在である中国のシャドー バンキングの残高は、2012年だけで前年比46%も増加しているのです(1980年代の日本の不動産バブル以上の勢い)。 その一方で、先進国は2008年以降のリーマン ショックによって、銀行の規制監督は厳しくなり、イギリスの銀行のバランスシートは2008年対比で30%以上も減少しています。
中国の金融当局もこうした事態を黙って何もしないで放置しているわけではありません。 色々と規制監督の手を伸ばしますが、日本のバブル期と同様に、このシャドー バンクは、そのかたち姿を変えては実質的に貸金業を更に拡大しているのが実態なのです。
しかし、このシャドー バンキングも、これまでは高成長の陰に隠れて問題が表面化しませんでしたが、ここに来て中国の経済成長率が7%台にまで失速してきたことから、これまでのような高金利でぼろ儲けできなくなり、その一方で不良債権が急増し始めて、いよいよ中国のシャドー バンキング問題は表面化して不動産バブルは崩壊しそうです(既に崩壊しているとの指摘も多々あり)。
当たり前のことですが、含み損になった土地や株、あるいは実現した損失を一気に解消できる魔法のような金融商品や金融テクノロジーなど、この世には存在しません(あるのは、更にコストをかけて損を先送りする金融デリバティブだけ)。 結局の処、出来る事と言えば、日々、血を吐くような努力をして何とか稼いだ僅かな儲けの中から、時間をかけて山のように積み上がった損失を少しずつ埋め合わせるしかないのです(このことを私たちが嫌というほど思い知らされたのもこれまでの「失われた20年」でした)。
最近、某大手証券会社が、中国経済の今後と不動産バブルに対して非常に弱気な見通しを発表していますが、私にすれば笑止千万、片腹痛しで「よく言うなあ~! 1980年代には特金一任勘定で顧客の株を好き放題に売買しては手数料を荒稼ぎし、揚句には『日経平均は10万円まで行く!』との見通しを立てて、会社を上げて大キャンペーンをしたバブルの中心役者が! それで、今度は『羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く』よろしく、超弱気のキャンペーン?! 」
失礼しました! つい話がそれてしまいましたが、それにしても、中国の土地バブルとシャドー バンキング処理に、一体、どれだけの資本と時間がかかるのだろう、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “中国のシャドー バンキング”
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資本主義+共産主義・・
両方の欠点・・絡み合い・・
最強のシャドー帝国・・
暗黒の時代・・中世に・・
日本・・白村江の戦い・・再現か・・・?
血生臭い革命になるんだろうか、結局政治大革命が起こってロシアの様に終局するんだろうか、しかしゴルバチョフやエリチンの様な役者はいないし、やはり共産党の中国人民解放軍が力で押さえ付けるんだろうか、だったら改革開放の経済資本主義を続けるのは無理だろうなあ、毛沢東時代には戻れないからどんな体制に変わるんだろうか。