2014/05/08 14:54 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ギリシャ危機から4年
先々週号の英誌エコノミストに最近のギリシャ情勢に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
思えば、ギリシャ危機が表面化したのは2010年の3月のことで、ギリシャの財政赤字がEU加盟条件である上限を大きく越え、また、その後の調査で、ギリシャは過去に遡って財政赤字をデリバティブ取引を使って過小報告していたことが発覚して、ギリシャの財政危機問題は通貨としてのユーロの存亡の危機にまで拡大しました。
EUとIMFは、2010年5月に第1回目の財政支援を110bnユーロ行い、 2012年には2016年にかけて合計246bn ユーロの第2回目の追加支援を行うことを決定し、加えて市場に流通している国債のリストラクチャリング(実質的な一部デフォルト)も同時に実施されました。 この当時の10年物のギリシャ国債は38%台まで利回りが急上昇し(価格が下落)、 完全に市場からの資金調達の道は閉ざされてしまいました。
その後のギリシャは、リシャはEUとIMFの厳しい財政再建要求の下、公務員改革、年金改革を実施して、2013年にはようやくプライマリー予算を辛うじて黒字化することが出来、 2014年4月にようやく3bnユーロの5年債を5%弱のクーポンで発行することが出来るまで、市場の信頼を回復しました(ちなみに10年国債は6%近辺で取引されています)。
ですが、だからと言って、「ギリシャの将来が明るいか?」と言えば、決してそうではありません。
ギリシャ経済は2008年以来、6年連続でマイナス成長であり、財政赤字のGDPに対する割合は175%と日本の2000%以上に続いて高い水準のままです。
IMFは、今後のギリシャの展望について更なる構造改革と同時に、ユーロ圏からの今まで以上の支援が必要であると指摘しています。 例えば、目標としている2020年にギリシャの財政赤字を124%までにするためには、2016年までは4.5%の経済成長をし、それ以降2020年まで、毎年4%の経済成長をしなければなりません(ちなみに2014年のギリシャの経済成長予測は0.6%である、しかも1%のデフレの予想です)。
加えて、IMFは、ギリシャ経済成長の為には、更なる構造改革が必要であり、それ次第であれば、今後5年に亘り、4%の経済成長も可能であるとしています。 しかしながら、この構造改革を押し進める為のギリシャの政治家は弱腰で、改革を渋ってなかなか進まないのが実情です。
そうこうしていると、2回目にEUとIMFが合意した2016年までの財政支援の期限まで、あと2年を切ってきました。 果たして、その時までに「ギリシャは計画通りの財政改革(経済成長)と、以前のように自由に国債を発行できるまでに市場からの信頼を回復出来ているか?」については極めて怪しいと言わざるを得ません。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ギリシャ危機から4年”
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財政状態についての隠蔽に関与したアメリカのゴールド万の話はでないのですね。 いずれバレル時限爆弾を仕掛けて太らせてから大儲けをしたようで、これは金融の王道ではないですよね。 経済発展をさせてその利益をわかちあうのが金融の王道ではないですか?
カジノ経済では、いつまでたっても世界の経済は回復軌道に乗らないでしょう。 どこの中央銀行総裁がまともな発言をする事になるやら
アメリカも日本も候補を早々と降りちゃいましたから、案外、中国だったりして(笑)