2014/03/20 14:55 | 昨日の出来事から | コメント(3)
ジョージ ソロスの次の一手は?!
今週号の英誌エコノミストに日本の年金基金GPIF(Government Pension Investment Fund)に関する記事の中で、2013年の急激な円安局面でUSD1bn(日本円で約1000円億円)を稼いだと言われているヘッジ ファンドの大御所ジョージ ソロスが2014年の1月のダボス会議で安倍首相と会あって「GPIFはもっとリスクを取るべきだ」と威張り散らしたと紹介しています。
確かに日本のGPIFの残高は、128.6兆円(USD1.25兆ドル)もあり、外国の年金や、アラブの国家ファンドよりもはるかに大きいのですが、その大半の運用先は、布団の下に積み上げたお金よりも更に保守的でリスク回避型のパッシブ運用が中心です(国内債券を中心としたもの)。
そのおかげで過去12年間のGPIFの運用利回りは僅かに1.54%に留まっています。 更に、これに従事するスタッフは、コストを抑える為に僅かに80名強しかおらず、これだけの少人数では、投資判断をするためのデータを集めるのもままならない状態なのです(要するに、のっけから何も運用できる体制になっていない)。
それでも、アベノミクスの登場によって、保守的な運用を改め、2013年3月では、投資している国内債券の比率が全体の62%ありましたが、2012年12月には55%までその比率は下がり(金額にして約8兆円)、その資金の多くは国内外の株式へと振り向けられました。
こうした動きは、ある面においては歓迎すべきものなのかもしれませんが、その一方で、色々と問題も抱えています。 と言いますのも、このGPIFをはじめとする政府系機関(郵貯や農中、そしてこうした公的年金ファンド)、更には日銀、そして国内のメガバンクが、 こぞって大量の日本の国内債券を保有していてくれているおかげで、日本国債の利回りが低く維持されている面があるからです。
今や、日本の国の借金はGDP対比240%に上り、日本の貿易収支は経常赤字転落しています、海外の投資家からの資金を期待するのは難しく、益々、国内で日本の借金(国債)を賄う必要があるのです。
にもかかわらず、これまでは団塊の世代を中心に国内の金融貯蓄が積み上がってきましたが、今や彼らは退職し、今後は積極的に貯蓄を取り崩してきますので、更なる日本国債の買い余力を期待することは困難になってきます。
こうした事もあって、GPIFやこれを管轄する厚生省(そして、その背景には財務省)は、安倍首相がソロスの提言を受けて「もっと積極的に運用すべきだ」との指摘した事に対し、表向きには「安全かつ流動性を確保する必要がある」との観点から積極的にリスクを取る運用には消極的です(本当の理由は、先程述べたような様々な事情があります)。
英誌エコノミストは、最後に「ジョージ ソロスは、安倍首相が更なるレッスンを受けたい為に、電話で呼び出されるかもしれない」と締めくくっています。
まさか、そんなことはないと思うのですが、、、
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3 comments on “ジョージ ソロスの次の一手は?!”
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日銀と政府が円を80円から100円に円安にすると公言してソロスに簡単に1000億円儲けさせていいんだろうか、誰に損をさせたんだろうか。
日銀と財務省はゼロ金利と買いオペと消費税で経済を回していけると思っているんでしょう、それぐらいの力しか持ち合わせていないんだから仕方ないんでしょう。
有り得るから・・
怖い・・
ソロスにすれば・・
日本は・・金の象・・マンモス・・
ソロスを・・鴨る・・
これでなきゃ・・やっていけないのに・・・(笑)
クロコダイルさんも、オーストラリアの80億円の資産が、豪ドル上昇で100億円になったわけですからソロス同じと思いますが、上がったところで売却してこれから上昇する国に移動しないといけないのが大変ですね。 結局、スーパーリッチの人って、無国籍になってしまいますね。
日本人も120円だった円が80円になった時もあるから、庶民もいくらかお金持ちになったはずでしたが、実感はなかったですね。