2014/02/25 15:09 | 昨日の出来事から | コメント(1)
既に成立の見通しのないTPP?!
今週号の英誌エコノミストに現在大詰めを迎えようとしているTPP交渉に関する記事がありましたので、ご紹介したいと思います。
日本でマスコミが報道しているところによれば、日本はTPP交渉においてアメリカからの強硬な交渉姿勢に聖域とされた農業5品目も今にも自由化されそうな危機感を煽るような記事が連日なされていますが、肝心のアメリカ側の態度、特に、野党である共和党の反対は当然のこと、今や与党である民主党の保護主義者の反対に屈しようとしていると英紙エコノミストは指摘しています。
そして、もしオバマ政権がTPP交渉に反対している与党民主党議員を賛成側に引き戻すことが出来なければ、世界の自由貿易主義は大きく後退し、世界は再び」1930年代のような保護貿易主義に陥り、世界は危機的状況になると警告しています。
そもそも、TPPのような自由貿易交渉にあたっては、「迅速な交渉」を進めることが大切で、大統領は議会に対して「賛成か、それとも反対か」を迫ることで、これまで議会と有利な立場を維持してきました(当初においては、表向きは誰も反対せず「Yes」を取り付けることが出来た)。 そうしないと時間の経過と共に、議員たちの様々な修正の試みによって、TPP交渉の本質的な目標である自由貿易が骨抜きにされてしまうからです(古今東西を問わず、いずこの国も同じか)。
残念ながらオバマ政権第1期では、このTPP交渉を殆ど前に進めることが出来ませんでした。 そして、第2期に入ってからは国内の与党議員の反対が増し、益々、進展させることが難しくなってきており、2月14日には、バイデン副大統領が民主党の反対議員に対して一定の理解を示し、もはや彼らと対立する様子もなく、11月の中間選挙を前に今回の「迅速なTPP交渉」はもはや望めそうにありません。
そもそも、どうしてTPPが必要かと言えば、これによって加盟国の生産を600bnドル(日本円で約600兆円)もしくはそれ以上押し上げるとされ、その効果は輸送、バンキング、IT,教育、保健、農業の全ての分野に亘るとされています(それ故に、自由化によって自分たちの既得権益を失う団体は反対するのです)。
更に、本来、「迅速な交渉」が基本である筈のこうした交渉にどうして日本を取り込み、あろうことか「お互いの妥協点を見出そうとしている」ことに、EU加盟国の首相たちは疑いの目を投げかけています(TPP交渉は成立しない可能性が高く、うやむやに終わる可能性大)。
英誌エコノミストは、「貿易のクローバリズムは避けて通れない。 もし、各国が保護主義に走れば、1930年代の世界大恐慌のリスクが増大する」にもかかわらず、既に、アメリカでは、表向きでは自由貿易を標榜しながら、保護主義的な政策を推し進め始めている事に強い警戒感を示しています。 例えば、FRBは国内外国銀行に対する新しい規制を検討し、更なる自由化に歯止めをかけようとしている。 更に、カナダとの石油パイプラインの認可を遅らせ、天然ガスの輸出許可もなかなかしようとしていません。
以前にも取り上げましたが、中国の参加しないTPPは意味がありません。
ましてや、日本を取り込んだことでTPPは成立しません(と言いますか、成立しない理由を日本のせいにしようとしています)。
故に、今、目の前で行われていることは全て猿芝居でござりまする。
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One comment on “既に成立の見通しのないTPP?!”
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米国も・・
日本も・・
上目使いに・・中国・・
中国・・鼻糞ほじりながら・・
高見の見物・・
まず・・
米国に・・
料理法・・決めてもらいましょう・・・(笑)