2013/12/17 15:23 | 昨日の出来事から | コメント(0)
豪ドル変動相場制移行30周年
今週の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様の中にもご存じの方もいらっしゃると思いますが、豪ドルは1983年12月12日に当時のPaul Keathing首相(後に財務高官、財務大臣)が、それまでの豪ドルの対米ドル固定相場制から変動相場制に移行することを決定し、今月で変動相場制移行30周年となります。
さて、変動相場制移行後の豪ドルは、2003年までの約20年間は、米ドルで換算した商品価格(鉱山価格)指数にほぼ100%リンクして取引されていました(商品価格が上昇すれば買われ、商品価格が下落すれば売られました)。 しかし、2003年以降は、鉱山価格が2011年にかけて4倍に高騰する一方で、豪ドルは対米ドル対比で0.8~1.00ドルの変動し、それまでの関係性は完全に壊れました。
これは豪ドル通貨のグローバル化によって、それまで鉱山価格だけにリンクしていましたが、他の様々な要因でも変動するようになったことを意味しています。 と言いますのも、今や豪ドル/米ドルの為替取引は、世界で4番目に取引の多い通貨にまで成長し、その割合は、世界の為替通貨取引の7%を占めるまでに至っています。
また、その一方で、2011年以降に商品価格が約30%下落した局面では、豪ドルは僅かに10%の下落にとどまり、 かつてのような商品価格との関連性はもはやありません。 1983年に、もし、豪ドルが変動相場制に移行していなかったら、豪ドルは2011年にかけて豪ドルは4倍に上昇したことになり、その時には、豪経済は致命的なダメージを受けたはずであると英紙エコノミストは指摘しています(その意味で、豪ドルの変動相場制移行は正解であったと暗に指摘しています)。
ところで、今後の豪ドルについてですが、豪中央銀行は、かつては「通貨というものは変動しない。通貨は結局の処、金利差できまる」と言っていましたが、今、彼らは「自国経済は回復の為に豪ドル安が望ましく、他のどの国の通貨よりも自国通貨安を望んでいるに違いない」と英誌エコノミストは指摘しています。
確かに足元的には豪ドルは景気の低迷と金利先安観から売られていますが、果たして、本当に彼らの思惑通りの豪ドル安になるかは怪しいものがあります。 特に、手ごわいのは、東方の日出国では、「異次元の金融緩和政策」と称して中央銀行総裁自らねじり鉢巻きを締め、バナナのたたき売りよろしく通貨安を強力に推し進める「円」が待ち構えているからです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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