2013/11/21 15:05 | 昨日の出来事から | コメント(1)
遅々として進まぬ改革
今週号の英誌エコノミストに「The thicket of reform:改革の茂み」と題して、現在、安倍政権が進めている第3の矢(成長戦略の為の改革)が、遅々として進めないことに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように、現在の第2次安倍内閣が発足して間もなく1年が経ちますが、発足時に矢継ぎ早に打ち出された「異次元の金融緩和(第1の矢)」と「10兆円強の財政出動(第2の矢)」が功を奏して円は約20%程度円安になり、それまでのマイナス成長だった日本経済はプラス成長になり、株価はそれまでの8000円台から15,000円台まで回復しました。
しかし、ここにきて、第3の矢である成長戦略(規制緩和)については、安倍政権は色々とコミットしているように見えますが、なかなか具体的な政策にまで結びついていません。 主な項目としては、農業の自由化(TPP交渉参加、減反政策の見直し、企業の農業参入の自由化等)、あるいは、医薬品のネット販売の自由化、 雇用の自由化(特に解雇規定の簡素化)、経済特区の創設等など、様々な事柄が議題に上がっていますが、どれも具体的に決まったものは殆どありません。
そうこうしている内に、来年の4月には消費税が引き上げられますが(デフレ要因)、もう、これ以上、財政政策も金融政策も出動することはほぼ不可能です。 安倍政権は、企業に対して景気回復を理由に賃金の引き上げを要求していますが、企業経営者は、将来的に景気が失速することが目に見えている為、賃金の引き上げには消極的です(誰も、アベノミクスで本当に景気が良くなるとは思っていない)。
そのことを裏付けるかのように、ここにきて日本経済の成長率は、第1四半期の4.9%、第2四半期の3.8%、そして第3四半期の1.9%と減速の一途を辿っています。
こうした事もあってか、一部に「安倍政権は、これまでの政権にない程、国民からの高い支持率と国会で圧倒的多数を獲得した事によって、ここまで十分によくやったではないか」との考えが出始めていることを英誌エコノミストは指摘し、 暗に、もう「ご苦労さんモード」になりつつある(賞味期限が近づいてきている)事を示唆しています。
確かに、1つの政権でたくさんの政策を実行に移すと、次第にその反発も大きくなることは、私の住むオーストラリアでも実感しました。 特に、ジュリア ギラード政権では、初の女性首相であったこと(そのことは画期的なことであり、表向きは何の反発もありませんでした)、また、地球温暖化対策として二酸化炭素税を導入し(企業は反対しましたが、国民からは支持されました)、更には、学校教育改革を実行し(表向きは誰も反対しませんでした)、 極めつけは、長年の懸案であった体の不自由な人に対する国のより多くの支援策を導入しました(表向きは、野党ですら反対しませんでした)。
ですが、こうした様々な「いい事」を政策として実行したにも関わらず、これらの政策が決まる毎に、何故か、ジュリア ギラード政権の支持率は次第に低下していったのです。 実に不思議なことですが、でも、何となくそうなるのもわかる気がします。
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One comment on “遅々として進まぬ改革”
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中折れ・・
試乗・・市場・・史上・・
国民・・
要求不満・・
満たされない・・
内転金・内転筋・・
鍛える以外ない・・・(笑)