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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/11/15 15:07  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

HONNE とTATEMAE?!


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題の記事がありましたのでご紹介したいと思います。

この「HONNEとTATEMAE」とは、当然のことながら日本語の「本音と建前」のことであり、それは今回のアベノミクスに関するお話です。

2012年11月に現在の安倍政権が発足した後、安倍政権が日銀と連携して異次元の金融緩和を発表した時、経団連の米山会長は、思わず“本音”が出て「無謀な!(Reckless)」と言ってしまいました。 しかし、その後は政府からの冷遇(cold-shoulder)に遭って以来、 “建前”では政府の政策を支持する姿勢に徹しています。

さて、今回の「HONNEとTATEMAE」の本題ですが、3年ぶりに民主党政権から自民党政権に復活することによって、財界は以前のような「鉄のトライアングル(自民党、財界、官僚)」の復活を期待していたのですが、今回は、どうも以前とは様子が違ってきていることがポイントです。

と言いますのも、まず、消費税引き上げに伴って安倍政権が賃金の引き上げを財界に要求したことです(こうしたことは、これまでになかった)。 これに対して財界は来年の春闘で、賃金の引き上げを団体メンバーに提示していますが、これはあくまでも「建前」であって、「本音」は、個別企業のボーナスなどの一時金等でその場をしのごうとしています。

次に、安倍首相は、自らを「株式会社『日本』」の会長として、財界に対し、「企業業績を上げること」と「より厳格な企業統治」を要求しています(これもかつてのなれあいの「鉄のトライアングル」にはなかったこと)。更に、財界を不安にさせていることは、「女性を管理者にし、経営に参加させること」を要求しています。 経団連は、「建前」はこれを歓迎する姿勢を見せつつ、「本音」ではあらゆる手段(tooth and mail)を尽くしてこれに抵抗しています。 今の処、これが功を奏して、最低一名の外部取締役を設置する事で何とかこれをしのいでいます。 その一方で、経団連は規制緩和推進の観点から雇用に関する規制緩和を政府に働きかけています(経営者自らの既得権は守りつつ、労働者側だけの既得権を規制緩和する作戦)。

幸いにして、今回の安倍政権の改革には、経団連以外の2つの企業団体(経済同友会と新経済連盟)から全面的な支持を得ており、これまでのように財界が一枚岩でなくなってきています。

今、日本は、高齢化と人口減少によって、企業は国内で投資するよりも海外で投資先を探すか、もしくは何もしないで内部留保を高めています(金額にして約250兆円)。 安倍政権の「女性を労働市場に参入させようとすることは非常にいい事である」と英紙エコノミストは指摘し、と同時に「本音」としては「もっと自由な移民の受け入れをすることが必要であるが、これは大いに議論の分かれるところである」ともしています。

最後に、「安倍政権は、古い体質のままで、ただ保守的な大企業経営陣からの「建前」だけの支持を引き出すのではなく、より国際的な感覚を持った若いビジネス マンが古い体質に対して声を上げるよう促すべきである。 つまり、不誠実(建前だけの)な賞賛よりも、若いビジネス マン からの正直な(本音の)批判の方が、アベノミクスにとってずっと有用である」と言い切っています。

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One comment on “HONNE とTATEMAE?!
  1. ペルドン より
    右手と左手

    人によって・・
    場合によって・・
    利き腕・・異なる・・

    両腕・・
    無ければ・・不便・・・(笑)

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