2013/09/20 15:57 | 昨日の出来事から | コメント(1)
リーマン ショックから5年
今週号の英誌エコノミストに「リーマン ショックの次はどこか?」と題した記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように、リーマン ショックは5年前の2008年9月15日にリーマン ブラザーズが破綻した事に端を発し、その後は世界中に金融恐慌が広がりました。 これに対して世界中の中央銀行が最後の貸し手として資金を供給し、政府は大量の財政出動をして景気の底割れを何とか回避させました。 これらの行動は、1929年の世界恐慌の際、中央銀行が最後の貸し手としての役割を果たさなかった事と、政府の財政出動が遅れたことによって世界経済は長期に低迷し、そのことが遠因となって第2次世界大戦へ突入していった過去の苦い反省に立った人類としては珍しく過去の経験を生かせた出来事でした。
そのおかげでアメリカは積極的な財政出動と3度にわたる量的緩和政策によって、サブプライム ローンを担保とした不良債券処理を終え、今やアメリカの大手銀行の自己資本比率は13%近くになり、かつての8%台の自己資本比率から60%も改善しています。
一方で、イギリスや日本は、アメリカほど健全な姿にはなっていません。 日本は、アベノミクスが登場して景気は回復基調にありますが、日本政府の借金はGDP対比250%に達し、財政健全化に大きな問題を抱えています。 また、イギリスは、予算削減による景気の下押し要因と民間需要が弱い中、世界の投資資金がイギリスの住宅投資に資金が流れてきているおかげで、リーマン ショックを起こすような危険度はありません。
では、新興国はどうかというと、中国は「2008年のリーマン ショックの再現があるとすればそれは中国である」としばしば取り沙汰されるが、中国の中東諸国に対する投資はGDP対比で200%にも達し、しかも、この国の経済規模は今や世界第2位まで成長し、国の債務の実際の大きさは正確にはわからないながらも、今のところは、利払いや償還に問題はない。
では、「どこが問題か?」と言えば、それは、とりもなおさずヨーロッパであり、こここそが、リーマンショック程ではないにしても、それに近いショックを引き起こす可能性がある。 というのも、南欧の財政問題は、現在も悪化こそすれ、全く減少していない。 また、ヨーロッパの銀行の資本金はアメリカの銀行のそれに比べて圧倒的に資本余力がない、 南欧諸国の激しい景気後退は財政負担を更に増加させ、かといって厳しい財政削減を実施すれば更に景気が悪化する悪循環に陥り、そのことが青天井の失業率となって国民を苦しめている。
にもかかわらず、各国の夢遊病者のように何もしない政治家は、本来、必要とされる域内の銀行の統合に手をこまねき、ECBがかつて宣言した「EUを維持するためにECBとして出来ることは何でもする」と言っておきながら、いまだに何もしていない。
英誌エコノミストは「恐らく、リーマン ショック程の大破綻は、今後は起きないかもしれない。 しかし、それよりも小さな規模の破綻やショックがこのヨーロッパから起こる可能性は十分に高い。 そして、今、リーマン ショックから5年が経過したが、『あれから世界が安全になったか?』と言えば、とてもそんなことは言える状態ではない」と締めくくっています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “リーマン ショックから5年”
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クロコダイルさんが丸飲みしたくなるような超安値になるショックは起きませんね
何なのかは雑誌記者でなくてクロコダイルさんやグーッチのようなプロでしかわからないことか、プロでも気づかないことなのでしょうが。
バッフェート氏がFRBは歴史上最大のヘッジファンドと持ち上げたから、ここが仕掛けるのでしょうか?