2013/07/24 15:18 | 昨日の出来事から | コメント(0)
米ドル高はどこまで続く?!
先週号の英誌エコノミストに 最近の米ドル高に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように米ドルは、今年の5月以降、世界の主要通貨に対して上昇し、とりわけエマージング マーケットの通貨(南アフリカ、インドネシア)に対しては10%以上も買われています。
この背景には、FRBによるこれまでの金融緩和政策QE3が早ければ9月のFOMCで決定されるとの思惑から、世界中にばら撒かれていた米ドル資金が撤退するとの思惑が働き、一部の市場では実際に資金の引き上げが起こっています。
さて、市場関係者の今後の関心は「米ドルは、今後、どれくらい上昇するか?」にあると思われますが、IMFが発表した204年に向けてのアメリカの経済成長率は2.7%であり、アベノミクスで思いっきり背伸びをしている日本ですら、日銀は1.9%の経済成長を予測(期待)するのが精一杯です。 一方で、ユーロは、引き続きゼロ成長もしくはマイナス成長が見込まれていますので、それぞれの地域の成長率からしても米ドルは2014年にかけて強含みで展開しそうです。
しかし、英紙エコノミストは、米ドル高にはそれほど大幅なものにはならないとしています(せいぜい、あと6~7%程度)。 と言いますのも、まず、何よりも現在のような世界が低成長に苦しむ中にあって、自国通貨だけが強くなることをアメリカ自身望んでいないからです。
更には、本来であれば、もっと売られて然るべきユーロが、対米ドル対比で高止まりしている理由の一つに、ユーロ域の経済は大幅な経常黒字であるのに対して、アメリカは恒常的に経常赤字であることが挙げられます。
加えて、ユーロが対米ドルに対するフェア バリュー(ビッグ マック インデックス)からすれば、1ユーロ=1.20米ドルであるにもかかわらず、現在、1.30ドル近辺で取引されているのは「大量の米ドルの準備金を保有している中国が、1.20ドル台で米ドルからユーロにシフトしている為」とあるヘッジ ファンドは指摘しています。
最近のユーロは、ファンダメンタルズ的にも、テクニカル的にも機能しない理由はこの辺りのあったようです。 そのヘッジ ファンド曰く「ユーロがどこまで売られ、そしてどこで止まるか? それは中国に訊いてくれ!」 だそうです。
最後に英誌エコノミストは、もし、あなたが来年のサマー バケーションでアメリカに行って買い物をするならば、今年以上にあなたの財布は空になるだろう(更なる米ドル高であなたの通貨(ユーロ、もしくは円)はより多く減るだろう)としています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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