2013/07/18 15:35 | 昨日の出来事から | コメント(0)
6月に起こった中国のクレジット クランチ(3)
今週号の英誌エコノミストに「6月の10日間」と題して、先月、中国で起こった金融危機に関する後日談が紹介されていましたのでご紹介したいと思います。
まず、結果から言えば、中国中央銀行は、6月の金融危機に際して何をしたのか?」の問いに対しては、当の本人(中国中央銀行)は色々と御託を並べているが、一言で言えば「後手に回り、しかも場当たり的であった」と英誌エコノミストは酷評しています。 そして、現在は、「こうした中国中銀の対応に対して、民間の銀行は、今後、どう対処すべきか?」に関心が移ってきています。
つまり、「中国中銀PBOC(the People Bank of China)は、一時的な資金ショートがおこって短期金利が急上昇しても何もしてくれない、あるいは、その対応が後手になり、その対処方法もはっきりしていない」事がはっきりした今、「今後も起こりうる一時的な資金ショートに対する準備をどうすべきか」が、中国の民間金融機関で盛んに議論されています。
結局の処、今回の6月の魔の10日間に実際に起こったことは、資金の足りない銀行は顧客から預かっていた手形を担保にして、資金に余裕のある銀行に高い金利を支払って割引く(お金を借りる)ことで急場をしのぎ、その金額は0.7兆元(日本円で約11兆円)に上りました。
しかし、この民間企業の手形を担保として短期金融市場で流通させることは、手形の中には倒産寸前の企業の手形も含まれ、もし、そうした手形が不渡りにでもなれば、更に金融市場は混乱に陥ってしまいます。 この間、中国中央銀行の貸し出し残高に殆ど変化がありませんでした。
そこで、民間銀行が検討を始めていることは、自らのポートフォリオ(資産)の流動性を高めることと、保有貸金の期間の短期化を図ることに注力を注ぎ始めています。
こうした金融市場の動きに対して、市場関係者は「国営企業のような大企業は、銀行から長期の借入と、長期の債券を発行することが出来るが、一方で、民間の中小企業は、今回動きによって、より短期間しか借り入れをすることが出来ない。 これに依って、彼らは、仕入から売上代金を回収するまでの時間のギャップを埋める為のつなぎ資金を安定的に手当てすることが益々困難になりつつある」と指摘しています。
こうした光景は、1990年代から2000年台に私達日本でも見た光景と全く同じであり、今回の中国の景気の失速とそれに伴う金融危機は、単なる一過性のものではなく、場合によっては数年あるいは10年単位で続く可能性があることを私たちは、経験上、よく知っています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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