2012/03/13 05:59 | 昨日の出来事から | コメント(2)
ギリシャ危機の次に来る危機は、原油?!
先週、ギリシャの民間国債引受団が政府の要求した債務交換の受け入れを決定し、ここにギリシャの「無秩序的なデフォルト」は回避されました。 しかし、その一方でISDA(国際スワップデリバティブ協会)は、今回の民間国債引受団の債務交換受け入れ(CAC:集団行動条項)は、クレジットイベント(信用条項)に該当するとして、CDS(クレジット デフォルト スワップ)の支払いが発生との判断を示しました(「無秩序なデフォルト」は回避されましたが、「市場取引としてデフォルト」の認定を受けた形です)。
ちなみに、ギリシャのCDSは、31.6億ドル程度(日本円で約2,500億円)の残高があり(ギリシャ財務大臣によれば、最大で50億ドル(日本円で4,000億円程度)、更に、ここからネット アウトすると(同一の投資家がDCSの買いポジションと売りポジションの両方を持っている場合にこれらのポジションを相殺する事)、実際の行使されるCDSの残高は、これを下回ることが予想されます。
さて、今日の話題は、ギリシャ問題ではなく、今後、2012年に起こりうる危機についてのお話です。
今週号の英誌エコノミストに「New Grease:(これまではGreece問題(ギリシャ問題)でしたが、今後は新しいGrease (ギリシャではなくグリース(油脂: 油: oilを掛けわせた))と題した記事がありましたので、ご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように、今年入ってガソリン代の高騰はお気づきのことと思います。
英誌エコノミストは、その理由を(1)ヨーロッパの信用危機が一段落し、今後は緩やかながらも景気の回復が期待できる事、更に、(2)アメリカ経済の回復基調が鮮明になってきている事、(3)世界的な金融緩和政策のお陰で、安い資金が市場に出回っている事、(4)イランの問題で経済制裁に踏み切り、各国の石油の備蓄残高は5年振りの低い水準になっている事(ちなみにイランのホルムズ海峡を通る石油タンカーの割合は、1973年の第一次石油危機の時は日量5百万バレルでしたが、現在は日量17百万バレルあり、世界全体の20%の原油がこの海峡を通過しています)、(5)テクニカル的には、各国石油採掘、及びパイブラインの故障が相次ぎ、予定している石油が市場に出回らず、需給がタイトになっている事、等が挙げられます。
これを受けて、「じゃあ、今後の市場の関心事は原油か?!」となりそうです。 確かに、マクロ的には原油価格が10ドル上昇すれば、世界経済を0.2%押し下げる効果があります。と言いますのも、原油を輸出することによって現金を手にする石油産出国は、石油を輸入する国に比べて消費をしない傾向が高いためです。
しかし、実際に原油危機が起きた時には各国の個別の事情が大きく反映されます。 つまり、原油価格の高騰は、各国の石油依存度によってその影響が違ってくるのです。
具体的に各国別に見てみますと、イギリスやアメリカは自国で石油を産出しているため、自国で消費する原油に対する外国の産油国の影響を受ける度合いが少なく、イギリスで30%程度、アメリカで45%程度となっています。 一方で、”スペイン”は95%以上、続いて日本やフランス、そしてドイツも90%以上も外国からの輸入に頼っています。
ここからわかることは、もし、原油危機が生じたとしても、イギリスやアメリカは比較的その影響は限られ、その一方で、日本やEU各国は、その影響をまともに受けることが予想できます。
そこで、もし、原油危機が起きれば、「EUと日本の「売り」、それに対してアメリカは「買い」となりそうですが、果たして思惑通りになる事やら、、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
2 comments on “ギリシャ危機の次に来る危機は、原油?!”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
スペインということでしょうか?
市場のしのぎの種は尽きない・・・