2013/06/11 15:16 | 昨日の出来事から | コメント(1)
アベノミクスの終焉?!
先週号の英誌エコノミストにアベノミクスに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
アベノミクスの一番の業績は、何と言っても2012年11月以降、日本の株が80%近くも上昇させた事なのですが、その株価が5月23日以降40%近くも下落した事によって、今、彼の業績がグラついています(尚、そもそも論として、本当に日本株が上昇したのは、アベノミクスのおかげなのかは議論の分かれるところであり、時期を同じくして起こったアメリカの景気回復とアメリカ株の上昇こそが、日本株の上昇の要因であるとの見解もあります)。
特に、アベノミクスの3本の矢の内、肝心絡めの3本目の矢に至っては、TPP参加表明するまでが精一杯で、その後に打ち出される成長戦略は付け焼刃の感は否めず、また、その詳細に至っては色々と矛盾が露呈し、その実行性に疑問が出ています(特に、今後、10年で所得を150万円増やすと声高らかに謳っていますが、、、、)。
また、先のアベノミクスの二本目の矢である日本銀行による「異次元の金融緩和政策」についても、これを発表した当時は日本国債の長期金利が0.4%近くまで急低下しましたが、その後は5月下旬にかけて1%台まで急上昇(価格は下落)しています。 そもそも日本銀行が今回打ち出した「期待インフレ率を2%に引き上げながらも長期金利を低位安定させる」といった政策は当初から矛盾したものであり、その実行性を疑問視する市場関係者も多くいました(期待インフレ率が2%であるならば、通常、長期金利も2%になる為)。 その意味で、「今回の日銀の金融政策は、ある意味において失敗だった」と指摘する市場関係者もいます。
そして、この長期金利の急上昇には3つの悪い副作用を伴います。 まず、一つ目は、日本の長期金利が1%上昇すると10兆円もの損失が、これを保有している日本の金融機関を中心に発生します。これに対して、「国債の損失が増えても一方で本業である貸し出しによる収益が増加するので問題ない」と指摘する向きもありますが、果たして、銀行のポートフォリオがそれほどうまくバランスが取れているか甚だ疑問です(資産(アセット)の50%以上が国債の保有である銀行が多く存在する為)。
2つ目は、金利のボラティリティ(値ブレ)が大きくなりますと、銀行のリスク管理を計算するVaR(Value at Risk)が急上昇して、これを所定のリスク内に収める為に保有債券を売却しなければならない事態となり、それが更なる債券市場の売り圧力となって値ブレを大きくさせる悪循環に陥る可能性があります。
そして3つ目は、日本の長期金利上昇の議論が、日本の財政破綻の可能性に発展してしまうリスクです。 現時点ではこの3つ目のリスクは顕在化していませんが、日本経済が今年の秋にかけて期待したほどには拡大せずに消費税引き上げを凍結せず得なくなった時には、この財政再建問題が市場の注目となる可能性があります。
以上のような様々な悪い副作用を除去するためには、何としてでも構造改革によって持続維持可能な経済成長を実現させることが不可欠なのですが、そのことの必要性は嫌というほど分かっていてもなかかなか出来ないのが、今、世界中の先進国が直面している問題のようです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “アベノミクスの終焉?!”
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珍しく・・
スッピンの分析・・
エコノミスト・・
過日・・
BBC・・
夢遊病患者記事・・
時折失敗がある・・それが・・これだ・・
とやられていた・・・(笑)