2013/02/26 06:38 | 昨日の出来事から | コメント(0)
イタリアの選挙結果は如何に
先週号の英誌エコノミストに昨日まで行われていたイタリアの選挙に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように去年9月にECBが「ユーロを守る為にECBが出来ることは何でもする」と発言して以来、ユーロ危機は一段落してユーロは買い戻され、財政破綻危機に直面して金利が上昇していた南ヨーロッパの国々の国債の利回りも大きく低下しています。
一見すると、ユーロ危機はもう既に過去のものになりつつあるとの見方をする人もいますが、決してそうではありません。 実は、ユーロ危機を根本的に取り除くために対策(財政再建と経済成長)は未だに遅々として進んでいなのです。
例えば、今回取り上げているイタリアですが、イタリアの一人あたりのGDPは、ユーロ導入以来ずっと下がり続けており、一人あたりのGDPの伸び率の低さは世界179か国中169位であり、辛うじてハイチやジンバブエに勝っているだけなのです。 にもかかわらず、ユーロ導入以来の労働コストは、いまだにドイツよりもずっと高い状態のままです。
こうした背景には、既得権益でがんじがらめになって効率が極端に悪く、経済が身動き取れなくなっているのです。 例えば、1件当たりの訴訟にかかる時間を比べて見ますと、フランスでは平均で331日ですが、イタリアでではなんとその4倍近くの1200日程度の時間と労力を要します。
そんなイタリアで、2月24日、25日と地方と国を合わせた総選挙が行われています。 結果は、まだ、出ていませんが、 英誌エコノミストは、前任のベルルスコーニ首相が率いる中道右派が勢いを増していることに強い警戒感と不快感すらあらわにし、「ベルルスコーニ氏が、再び政権の座に戻ることになろうものなら、折角のイタリアの財政改革や経済改革は逆戻りし、それにとどまらず、ようやく落ち着きを見せてきた通貨としてのユーロを再び危機に陥れ、究極的にはEU崩壊にまで追いやるであろう」としています。
選挙結果次第では相場が荒れそうです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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