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2013/01/22 06:37  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

主要各国の住宅事情


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに、主要各国の住宅事情に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

今、最も割高な住宅市場はカナダで、住宅価格はこの1年間で3.3%上昇し(2007年以降では20%の上昇)、賃貸料から見た比較では78%も割高になり、個人の所得からみた比較でも34%も割高となっています。 

その次に割高なのは、これまでも割高感のあった香港が続き、香港の過去1年間の住宅価格の上昇は21%で2007年以降では86.8%も上昇しています(完全に住宅バブル!)。 それに続いてはシンガポールで、過去1年間に住宅価格は2.8%上昇し、2007年対比でも24.1%の上昇となっています。また、香港は、賃貸料からみて69%も割高ですし、シンガポールでも57%も割高となっています。

一方で、ヨーロッパ信用危機に苦しむヨーロッパの各国の住宅市場は、2極化が起きています。確かに住宅価格そのものは、微増もしくは下落傾向にありますが、それでも住宅価格の割高割安比較では大きな開きがあります。 例えば、ヨーロッパでもっとも好調なドイツでは、過去1年間に住宅価格は2.7%上昇し、2007年対比でも8,8%上昇しています。 にもかかわらず、住宅価格そのものは、賃貸料からみて、まだ17%も割安ですし、個人所得から見ても同じく17%も割安となっています(ドイツの住宅はまだ買える?!)。

その一方で、お隣のフランスの住宅価格は、過去1年間に1.3%下落し、2007年以降では2.7%の上昇と横這い状態です。 しかし、フランスの住宅価格は賃貸料から見ますと50%も割高になり、個人所得からもみても35%も割高となっています(フランスの住宅は割高で売り?!)。

その一方で、ユーロ信用不安の元凶国の一つスペインは、過去1年間に住宅価格は9.3%下落し、2007年以降で24.3%も下落しています。 にもかかわらず、スペインの住宅は賃貸料からみて19%も割高ですし、個人所得から見ても、いまだに21%も割高な水準に留まっています(スペインの住宅バブルの後始末は、まだ終わっていない)。

そして、今、注目すべきはアメリカで、アメリカの住宅価格は過去1年間に4.3%上昇していますが(2007年以降では20.5%の下落)、賃貸料からみますと7%も割安で、個人所得から見て20%も割安となっています(アメリカの住宅は買い?!)。

そして、我が国、日本はどうかと言いますと、過去1年間に2.6%下落し、2007年以降でも14.2%の下落となっています。 また、賃貸料からみて37%も割安ですし、個人所得から見て36%の割安のままです(この状態は、2007年の頃から変わらず)。 

この記事を読んで特に感じたことは、「ヨーロッパ各国の住宅価格事情は、これ程までにバラつきがあるにも拘わらず、金融調節機能がECB(ヨーロッパ中央銀行)だけしかない事は、いくら何でも無理があり、また、当のECBの運営実態は、何のことはない、それは健全なドイツ経済を持続維持させる為だけのものであることが、ヨーロッパ各国の住宅価格事情からもみてわかり、一方で、それに無理して付き合わされているフランスも、既についていけなくなってしまっている南欧の国々は疲弊しきっています。

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