2012/12/14 04:47 | 昨日の出来事から | コメント(0)
いたずら電話で自殺者を出したオージー風ジョーク
読者の皆様もご存じの方も多いと思いますが、先日、イギリスのキャサリン妃のご懐妊発表後に、妃が入院されていらっしゃる病院に、オーストラリアはシドニーのラジオ局の男女二人のDJが、エリザベス女王の名前を謀って(たばかって)病院に電話をかけ、これを取り次いだ女性看護師が、これをいたずら電話(prank call)と察知できずにキャサリン妃に取り次いでしまい、後にこれを苦にしてこの女性看護師が自殺する結末となり、折角のロイヤル ファミリー誕生の祝賀気分が台無しになってしまいました。
確かに、私もオーストラリアに移住して以来、車の中で聞くラジオ番組でいたずら電話や、他の人の名前を謀って視聴者を驚かせるコーナーがあり、「これって、法律的にいいのかなあ?!」としばしば首をかしげたものでした。 私は法律の専門家ではありませんので定かではありませんが、他人の名前を名乗って特殊な情報を得ようとするのは、日本では詐欺罪に抵触するのでは、、、、(間違っていたらすみません)。
事件後、シドニーのラジオ局上層部は、「いたずら電話そのものは豪の法律に抵触しないが、自殺者を出した事は真に遺憾であり、自殺した看護師の遺族をサポートする基金にAUD50万ドル拠出する」と発表しました。 また、当のDJたちは「(自分たちのいたずら電話で)自殺者を出したことは本当に申し訳ない」としつつ、「僕たちがかけた電話はオージー訛りの英語なので、相手はすぐに『これがいたずら電話』だと気付くと思った」と弁解していましたが、電話を取った看護師は「インドから移民してきた40歳台の女性」だったのです。
一方で、イギリスの警察当局は、自殺者を出したこの事件を検証中で、近くこの2人のDJに対して事情聴取を行うとのことです。
これを受けて、今、オーストラリアでは、この事件に関連した議論が起こっています。 今回の事件を単に「シドニーのラジオ局の『あほな二人のDJ』が起こした不幸な出来事」で終わらせるのではなく、こうした番組をさせたラジオ局のマネージメントに問題はなかったか、更には「オーストラリアのメディアの在り方に問題はなかったのかが問われている」としています(何故ならば、他のテレビ局やラジオ局でも大なり小なり同様の「いたずら電話」のコーナーがあるからです)。
オーストラリア人の人なつっこく冗談好きなのは有名ですが、我々のように英語を不得手とする外国からの移民としては「彼らの英語を聞き逃すまい」として話を一生懸命に理解しようとしているのに、それが冗談だとわかった時の「ある種の腹立さを伴った脱力感を彼らはわかっているのだろうか?」と思うことがあります。 ましてや、それが、“業務中”に「クイーン」の名前を使った「いたずら電話」となれば、その無念でたるや如何ばかりであったか、同じ外国人として痛いほどよくわかります。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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