2012/11/01 06:20 | 昨日の出来事から | コメント(0)
RBA対ヘッジ=ファンド のバトルが起きる?!
昨日、昨年に辞任したRBA理事Warwick McKibbin氏が、ウオール ストリート ジャーナルとのインタビューの中で、「RBAは現在の豪ドル高を是正するための介入をするかもしれない」と語りました。 インタビューの主な内容は以下の通りです。
(1) 最近の豪ドルは、昨年11月以来、1.5%も政策金利を引き下げたにもかかわらず高止まりしており、特に米ドルに対しては、パリティ(1豪ドル=1米ドル)を大きく越えたままで、RBAの理事会メンバーはこれを不思議に思っているに違いない(本来は、豪ドルはもっと売られてしかるべき)。
(2) 豪ドルが高止まりしている背景には、FRBが更なる金融緩和QE3を実施した事、また、ヨーロッパの信用不安で通貨としてのユーロは買えないことがある上に、ECBが9月に金融緩和をした事が挙げられる。更には、足元的には豪経済は失速気味であるが、それでも先進国の中では、最も健全な経済成長を維持していることが考えられる。
(3) もし、RBAが現在の豪ドル高を是正するために市場介入をするとすれば、それは1992年のイギリス中央銀行対ヘッジ ファンド(ジョージ=ソロス)のようなバトルを彷彿させるかもしれない。 当時、ブリティッシュ ポンドは、イギリスの経常収支が悪化していたにもかかわらず、現在のユーロ導入に向けた準備段階として存在していたEuropean Exchange Rate Mechanismで設定されたレンジの中に為替水準を維持する為に、英中央銀行の市場介入によって買い支えられていましたが、ジョージ=ソロスを中心としたヘッジ ファンドが、オプションなどのデリバティブを駆使してポンドを売りまくり、遂には英中央銀行はこれを支えきることが出来ず、英ポンドは暴落してEuropean Exchange Rate Mechanismの離脱を余儀なくされました。
尚、今回のWarwick McKibbin氏のコメントに対して、RBAのスポークスマンは、「ノー コメント」としています。
私が、この記事を読んだ第一印象は、「去年まで、RBAの理事をやっていた人にしては、時代錯誤も甚だしい人だなあ」という事でした。 と言いますのも、現在のヘッジ=ファンドは、かつて(1990年代)のような資金もなければ勢いもなく、それどころか顧客からの解約に怯えて青色吐息の状態で、中央銀行とバトルするどころではないからです。
また、「現在の豪ドルは、当時のブリティッシュ ポンドのように目標とする為替レンジもありませんし、むしろ他国の通貨が弱くて相対的に高くなっているだけで、これを理由に為替介入するのは、日本の政府日銀が為替介入する以上に他国からの理解が得られない」と思うからです。
それにしても、1992年当時のイギリス国民は、ジョージ=ソロスをはじめとするヘッジ=ファンドにコテンパンにやつけられてEuropean Exchange Rate Mechanismからの離脱を余儀なくされ、その後の通貨としてユーロ参加への道が危うくなったことに対して恨み100倍でしていましたが、今となっては、そのおかげで?!現在のユーロ通貨に参加しなくて済んだのですから、きっと心の中では、ジョージ=ソロスをはじめとする当時のヘッジ=ファンドと、当時、ユーロ参加には一貫して反対し、言葉なまりが強くて口下手で不人気極まりなかったゴードン ブラウン首相に感謝している筈です。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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