2012/10/26 05:58 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ブラック マンデー、 あれから25年
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様の中には、もう25年前の出来事など記憶にない方も多いと思いますが、それは1987年19月19日(月曜日)に起こりました。 当時、財政赤字に苦しむアメリカのベーカー債務長官とドイツの財務大臣との間で財政政策を巡る対立が先鋭化した事をきっかけにNYダウは1日で23%も急落し、1929年の暗黒の木曜日に匹敵する暴落と言われました。 その後、主要各国の中央銀行は、これに対応するために大幅な金融緩和をし、更に流動性を供給してこの危機を切り抜けたのでした。
しかし、英誌エコノミストは、これ以降の主要各国(特にアメリカ)の金融政策は3つの“大きな失敗”をしたと指摘しています。
1つめは、当時のFRB議長であったアラン グリーンスパン議長が、「最後の貸し手」として「中央銀行はマーケットが急落した時には、いつでも資金を供給して市場を支える」と表明したことによって市場のモラルは弛緩し、1990年台後半のdot.comバブルや2000年以降の住宅バブルを引き起こしました。 また、その間にも小さな危機が市場に起こりましたが、そのたびにFRBは資金を供給して市場を支え続けました。
2番目の失敗は、1980年代までは、FRBが支援する対象は、個人預金を預かっている市中銀行だけでしたが、1980年以降はその対象が証券ブローカーや、インベストメントバンク、更には保険会社にまで対象が広がり、市場内には「Too big, to fail(あまりにも大きな会社は、倒産しない)」といったモラル ハザードが市場内に大きく醸成されてしまいました。
3つ目の失敗は、1980年以降の金融政策(規制緩和)によって、投資家のポートフォリオ インシュランスの概念が一変してしまいました。 それまでは、投資家は将来の株価の急落に備えて「ヘッジ」をすることを投資行動の中に組み込んで堅実なポートフォリオ運営を行っていました。 しかし、1980年以降は、デリバティブ商品(先物、オプション、Swap)の発達によって、デリバティブの市場規模が実際の市場規模の数十倍にまで拡大し、その結果、市場参加者が、ひとたび売りに回った時には、これに向かう買い手が全くない状態に陥ってしまいました。 結果として、本来はポートフォリオをヘッジして価格変動を抑制するはずのデリバティブ市場が、より市場を暴落に陥れる結果になっています。
結局、ブラック マンデー以降の25年間において、トレーディングに携わる者(業者)、投資家、そして規制当局者は、ブラック マンデーの教訓からは何も学ばず、同じ失敗をそれ以降もただ繰り返すばかりです。 それどころか、各国の政治家が、こうした問題解決のためにとった政策が、更なる問題を引き起こしていたのが、この25年でもありました。
我々が学ぶべき本質的なことは、「いかなる期間においても、価格が急上昇することはバブルであることを示唆しており、悲しいことに、ひとたびバブルが弾けた後の市場の混乱に対しては、痛みの伴わない解決方法はない」と英誌エコノミスト誌は結んでいます。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ブラック マンデー、 あれから25年”
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を読めば・・
如何に・・我々が・・アホであるか・・
時代が異なるだけで・・繰り返し繰り返し・・飽きずに・・同じ事を・・繰り返す・・病的な傾向がある・・
と分かるが・・
読み終えると・・すぐ忘れる・・
故に・・
楽観と悲観が・・交互に・・あるいは・・同時に・・やってくる・・
洞窟時代も変わらなかったのでは・・・(笑)