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2012/05/11 06:14  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

円高対策に姑息な手を使う財務省と日銀


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに円安政策に腐心する財務省と日銀の政策に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

日本では、ゼロ金利政策を導入して10年が経ち、その間の日本の金融政策の関心事は金利水準ではなく、為替水準一点に注がれてきました(金利水準がゼロに張り付いたままで、円高対策一点に注がれてきました)。

英誌エコノミストは、最近になって財務省と日銀が姑息な方法で円高対策を取ろうとしている事が伺えると指摘しています。 一つ目は、4月27日の日銀政策決定会合で、既に決定していた資産買い入れ額を消化していないにも関わらず、更なる5兆円の資産買い入れと、今後の短期国債買い入れ対象銘柄を償還2年から3年まで拡大する事によって、更なる円安効果を狙った政策を決定ました。

また、財務省は財務省で、今回、IMFが提案したユーロ信用不安に対応する為の4,300億ドルに及ぶ資本増強の内、日本は60億ドル(日本円にして約5兆円)の資本拠出方針を打ち出しました。 市場では、これに対して色々な思惑が出され、一部にはIMF内での日本のプレゼンスを中国に抜かれないようにする為といったお人好しな思惑も流れましたが、実の処は、過去に為替市場で円高になった時、G7の他の国に協調介入を要請しても協力を得られず、結局、日本単独の為替介入しか出来なかった為に、その効果は限定的なものに終わっていました。 そこで、今回、IMFに巨額の金額を拠出することで主要国に貸しを作り、将来、日本が為替介入をする際、他国からの同意を得やすくするためではないかとの考えがもっぱらです。 

これを読んだ読者の皆様は、「借金が返せずに踏み倒すヨーロッパの国々のために捨て銭を出すほど日本はお人好しでない」と分かり、安心した人も多いかもしれませんが、残念ながら、今の処、日本銀行の追加的量的緩和策も、財務省のIMFの巨額の資本拠出も、足元の円高をみると、その効果が本当にあったかどうか疑問です。

ただ、NomuraのYunosuke Ikeda氏によれば、2010年以降、日銀の大量資産買い入れを決定した後には、必ず為替介入があった事から、今回も、政府日銀による為替介入の可能性を指摘しています。 更に、同氏は「今回は、日本政府がIMFに対して巨額の資金拠出をすることを決定したので、次の政府日銀のより為替介入の際には主要先進国の同意も得やすくなるのではないか」とコメントしています。

また、「為替介入とにらめっこ」の時間帯が来たようです。

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One comment on “円高対策に姑息な手を使う財務省と日銀
  1. ペルドン より
    財務省と日銀

    それは・・
    マンネリの手で・・
    手の内を読まれると・・
    何時か・・
    逆張りで・・酷い目に・・・

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