2012/08/31 05:45 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ギリシャよりも先にEUを離脱する国がある?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように、ギリシャは2010年にEUとIBMの支援を受けて以来、トロイカ体制(ECB,IMF,ギリシャ政府)でギリシャの財政再建に取り組んできましたが、財政再建計画は一向に捗らず、それどころか予想以上の景気後退に税収は更に減少し、毎月の国家公務員の給料や年金の支払いに事欠き、その支払いをその都度、EUとECBから資金支援を受けなければならないほど、国家財政は瀕死の状態(moribund)となっています。
以前にもお話しましたが、ドイツは水面下で、ギリシャをEUから切り離す計画を画策し、一方で、ECBのドラギ総裁は「EUを維持するためにECBとして出来ることは何でもする」と宣言していますが、そのECBの出来ることは、実の処、ごく限られてしまっていることはこのコーナーでもご紹介しました。
こうした事から、多くの人々は、EUからの離脱第1号はギリシャと疑って止まないのですが、実はそうではなく、ギリシャよりも先にEUから離脱する可能性のある国があると英誌エコノミストは指摘しています。 その国は、ギリシャのように財政危機に苦しんでいるのではなく、逆に財政支援をしている側のフィンランドなのです。
フォンランドは、これまでも南ヨーロッパのだらしない国々の財政支援に一貫して反対してきましたが、ここにきてその態度は更に強硬となり、今後の財政支援に対しては担保がないと更なる財政視線には応じられないと主張しています。
こうしたフィンランドの主張の背景には幾つかの理由が挙げられます。 一つ目は、現在のフィンランドの財政赤字はGDP対比53%と非常に低く健全なのですが、この国は、日本、イタリアに次いで高齢化社会が進行しており、近い将来には社会保障費が急増し、とてもよその国の財政支援などできる余裕はなくなることの考えがあります。
2つめは、フィンランドは1990年台に国内銀行の不良債権処理で非常に苦しんだ経験があり、それらをようやく克服した現在のフィンランドにとって、「スペインやギリシャのように、自国銀行の不良債権を処理できない国をどうして我々が助けなければならないのか?」と言った根強い反発があります(1990年台にフィンランドが国内銀行の不良債権処理の際にはどこの国も助けてくれなかった!)。
3つ目は、フィンランドの貿易相手国の事情があります。フィンランドにとってEUに対する貿易の割合は、自国貿易総額の僅かに31%でしかなく、彼らにとっての最大の貿易相手国はロシアとスエーデンなのです。また、通貨ユーロに参加していない隣国ノルウェーは、通貨ユーロに参加しなくても(あるいは、逆にユーロに参加していないおかげで?)非常にうまくやっており、フィンランドにとって通貨ユーロに参加し続けることは、「労多くして益少なし」の状態なのです。
かといって、フィンランドがユーロ圏から離脱してロシア経済圏に取り込まれることにも根強い抵抗があり、今の処、フィンランドの世論調査ではユーロ圏にとどまることを望む国民の方が多いようです。
今日で8月も終わり、ヨーロッパの夏のバカンス シーズンも終わりを告げて明日から9月に入りをしてギリシャ救済策が本格化します。 この救済策の議論にあって、その中心的な役割を担うのは当然のことながらドイツであり、そのドイツが打ち出す救済策次第では、ギリシャが離脱、あるいはフィンランドが離脱する可能性が出てきました。 「フィンランドを取るか、ギリシャを取るか?」と尋ねられたならば、自ずと知れたことだと思うのですが、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ギリシャよりも先にEUを離脱する国がある?!”
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フィンランドには・・
まだ余裕・・
希臘には・・
余裕が無い・・
フィンランド・・
大金を出せ・・
強制されない限り・・
ユーロ離脱・・まだ・・先では・?
スペイン・・こじれば・・
離脱の可能性大・・・