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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/08/21 06:58  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

次の一手は?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに、何ら解決策を見いだせずに悪化の一途をたどっているヨーロッパ信用危機に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

現在のヨーロッパは、ロンドン オリンピックの余韻と長期夏休み期間中の為に政治的な動きは表沙汰になっていませんが、9月になれば否が応でもこれまで悪化の一途を辿っているギリシャの財政問題とその周辺国の財政支援問題に手をつけざるを得ない状況になっています。

ここにきて人々はこれまでのように「ユーロを維持するよりもユーロを解体した方がいいのではないか」といった考えが勢いを増してきており、先日行われたドイツの世論調査では、 ユーロ結成後初めて僅かながらも「ドイツマルク復活を望む」意見が、それまでの「通貨としてのユーロを維持すべきだ」を上回りました。

また、ドイツのメルケル首相はこれまでも何事に治しても実践的であったがように、今回の対応に対してもより実践的な「秩序だったユーロ解体」を模索しているようです。 確かに、ギリシャは崩壊しつつあり、その周辺国もその過程を辿っています。 その一方で、北のEU加盟国のこれらの国への財政支援も限界に近づきつつあるからです。

そこで、我々が考えついたいくつかのシナリオは、ユーロを維持しようが解体しようが、どれも非常に厳しいものとなったが、その中にあって、はっきりしていることは、この問題解決には、(1)緊急を要すること、そして(2)現時点では、ユーロ解体することは、ユーロを維持することに比べて、はるかにリスクが高く、かつ、よりコストがかかるという事である。

一つめのシナリオは、ギリシャを放出することが考えられる。 (ドイツに留まらず)ヨーロッパで一般的に考えられている「ギリシャを放出すると、これ以上のコストがかからない」という間違った考えがある。確かに、ECBが保有している40bnユーロのギリシャ国債(約4兆円)、更にこれまで支援を受けた130bnのローン(約13兆円)、加えてその他諸々の支援金150bn(約15兆円)、合計320bnユーロ(日本円で約30兆円)は、ドイツのGDPの4%を占める程の大金ですが、、それでも、現在のように、際限なく財政支援をし続けることを考えれば、320bnユーロを払ってギリシャと完全に縁が切れるとなれば、それはある意味で安いコストと言えるかもしれない。

しかし、確かに対ギリシャに対してはそれで済むかもしれないが、もし、そうすれば、今度は、アイルランド、ポルトガル、キプロス、スペインまでも第2、第3のギリシャを想定させ、大混乱となることは必定である。 何故ならば、ヨーロッパのほとんどの人々は、(ギリシャが実質的に崩壊しつつある現実を目の前にしても)ギリシャはユーロから離脱しないと決め込み、逆にそれを前提として周辺国の高い利回りの銀行預金をし、あるいは周辺国の大幅に下落した国債を保有しているからである。

それでは、2つ目のシナリオとして、「じゃあ、ギリシャだけでなく、アイルランドも、キプロスも、ポルトガルもスペインも、いっそのこと、ユーロから放出すればいい」といシナリオが考えられます。 これによるコストの概算は1.15兆ユーロ(日本円で110兆円)に上り、ドイツの負担額は500bnユーロ(日本円で約50兆円)になります。これは、ドイツGDPの20%に相当し、さすがにこれだけの金額を自国以外の国民のためにドブに捨てるのは忍びず、国民の理解はとても得られるものではありません。

そこで、3つのシナリオは、ギリシャも、アイルランドも、ポルトガルも、キプロスも、スペインも放出せずに(現在のユーロ維持することを前提に)、よりヨーロッパの統合を進化させ、ヨーロッパの銀行の資本注入と、ヨーロッパの人々の預金保険を確保し、連邦国債を発行することで、現在資金調達の出来ない国々にも調達の道筋をつけるというものです。 こうすることによって、現在発行しているドイツ国債の発行コストは増加し、その負担額は、最初に銀行等に対する資本注入に300-400bnの資金負担(約30~40兆円)となり、その後は年間約15bn(約1.5兆円)の更なる国債発行コストの負担が必要となります。

確かに、数字は大まかであり、更なる余分なコストが活性する可能性はありますが、それを持ってしても、ギリシャやあるいは、その他周辺国を放出するコストよりも安くつくし、何よりも、政治的にギリシャをバルカンの地獄に陥れるリスク(ロシアの経済傘下に入る、あるいは少数民族間の抗争等が考えられます)は計り知れないものがあると指摘しています。

最後に、英紙エコノミストは、「本来、更なるユーロ統合は、もっと以前に行われるべきであったが、やってこなかった。 そして、今、南ヨーロッパの腐食は益々深みに入り、それは北ヨーロッパにまで広がり始めている。もう時間がないのである。 ECBが辛うじて、時間稼ぎをしているがそれも限界がある。 早く、次の一手(3つ目のシナリオ)に着手しないと、3つ目のシナリオのコストは、近い将来、ギリシャやその他の国を切り離すコストと変わらなくなってしまう。 その際には、それまでの「秩序だったユーロ解体」から、「壊滅的なユーロ解体」となってしまうだろう」と述べています。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “次の一手は?!
  1. ペルドン より
    次の決め手

    BBC・CNN・・
    ユーロ圏各国・・希臘離脱・・対策済み・・
    静かに・・Dday・・待っている・・とか・・・

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