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2012/06/26 05:59  | 昨日の出来事から |  コメント(6)

イギリスの小学校で中国語が選択必修語学に!


おはようございます。

先日、このコーナーで、英誌エコノミストで現在の日本を「Hollow Men(空洞化する国民)」と題した記事をご紹介したところ、「それ(Hollow Men)は、本家本元のイギリスのことではないか?!」とのご意見を幾つかいただきました。

確かに、イギリスはウィンブルドン現象と言って、かつては自国が得意としていた製品やスポーツが、他の国や外国の選手に奪われるほど凋落(もしくは空洞化)してしまいましたが、ここにきてこれを何とか巻き返そうとする動きも出てきています。

例えば、今月6月10日にイギリス政府が決定した教育改革の中で、「2014年から、小学校で外国語(英語以外の語学)を必修させ、その対象とする語学は、ラテン語、ギリシャ語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、そして中国語」としました。

これまで、イギリスではラテン語、やギリシャ語、フランス語、ドイツ語、スペイン語は、教養あるいはビジネス語学として、高校や大学で教えられてきましたが、これらの語学を小学校から教えることは画期的であると同時に、更に中国語をこれらに加えたことは、イギリスの現状(凋落と空洞化)打破に向けた意気込みが感じ取れます。 特に、世界第2位の経済大国「中国」の存在は、様々な見方があるとはいえ、世界の政治経済の舞台において、これを除いて語ることができない存在であることを今回のイギリスの教育改革は明確に示しています。

さて、もう一つの空洞化する国、日本の英語教育ですが、それまで長年にわたり、その必要性を言われながらもなかなか実現しなかった小学校の英語教育が、2009年4月から小学校でようやく始まりました。 ですが、その内容たるや、お粗末なもので、週1回の年間35時間の英語教育では、やらないよりはましでも、とても身に付く英語にはならないことは、読者の皆様の自らのご経験からして容易に察しが付くと思います(他の教科との兼ね合いがあるのもわかりますが、、、)。

結局のところ、私たちがこれまで受けてきた日本における英語教育は、「“日本の企業”に就職して、そこで使える英語を身につける」ことが目標であったように思えてなりません(何故ならば基本的には、日本の企業への就職率がほぼ100%であり、しかも終身雇用であった為)。 しかし、今後は、そうではなくて、私たち日本人は「“外国の企業”にいきなり就職しても、そこで使える英語を身につける必要があるし、それを目標とした英語教育が必要である」と考えるのですが、読者の皆様はいかがお考えでしょうか。

と言いますのでも、将来的には、どう考えても、日本の企業はますます海外に進出し(空洞化し)、明らかに日本の国内企業(特に製造業)に就職する人の数は減少することは必定であり、それに対処するためには、外国の企業、あるいは外国の日本の現地企業に就職機会を求めざるを得ないのです。

こうした議論をすると、すぐに「お前は非国民か、それとも売国奴か?!」といったご意見を頂戴しますが、そのような情緒的な言葉の挟む余地は、この期に及んでありません。

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6 comments on “イギリスの小学校で中国語が選択必修語学に!
  1. アントン より
    子供はただの飯の種

    日本における小学校からの英語教育の本音は、外野がうるさいからとりあえずアリバイだけ作っておこう程度の発想ではないでしょうか?官僚が何よりも嫌うのは自分たちに手間が掛かることですから。

  2. パードゥン より
    和魂洋才

    優秀な通訳はたしかにこれまでより必要ですが、日本人全員が通訳になる必要はないでしょう。 しゃべれないだけで、英文の本の内容を深く理解できる人が多いほうがバランスとしてはいいと思いますが。

  3. 通りすがり より
    幼児教育

    グローバルに活動するのに英語は必須です。中国語は英語と語順も似て、学習は日本語より容易。だからと言って、低年齢からやれば上手くなると言う訳ではありません。
    ぐっちーさんも前橋さんも小学校から英語を勉強していらっしゃいましたか?

    戦後「掘った芋・・・」で通じたのは有名な話。大切なのはやる気と根気。その人が、その言葉で話したいと思う気持ち。幼児から学習すれば身に付くと思うのは誤解です。

  4. 前橋 より
    通りすがり 様

    いつもお世話になります。

    ご指摘のこと、ごもっともでございます。

    ですが、これは私だけの経験かもしれませんが、「ヒアリングとスピーキング」に関しては、もっと早くから慣れていれば(あるいは教育を受けていれば)、どれだけ楽であっただろうか、思っています。

    そして、お恥ずかしながら、中学から英語を初めてもう40年以上たちますが、いまだに、私は、英語に自信が持てません。

    それは、文法や、難しい単語を覚える以前の「英語」(子供の話す英語のレベル)が、身についていないところにその根本的な理由がるのではないかと、考えています。

    それ故に、今後の日本の子供たちに、私と同じ思いをしなくて済むように、早いうちから、「子供英語」」や「子供英語会話」を身につてほしいと願っています。

    そこから先は、通りすがり様のおっしゃる通り、本人のやる気と努力だと考えます。

    貴重なご意見、ありがとうございました。

    前橋

  5. 通りすがり より
    自信を持って

    英語圏で生活をされてる方に、生意気な事を言う様でコメントをするべきか迷ったのですが・・・・

    英語の発音なんて、それは多分、前橋さんがコンプレックスを自分で作り出しているだけではないですか?私はぐっちーさんとあまり変わらない世代で、生粋の日本育ちです。20代にPhonicsに出会い、興味を持って自分で発音に気をつける様にはしていました。その後、日常会話程度が出来る様になった際、アメリカ人と話をすると、いつも発音を褒められ、「君の英語を聞くと友人の一人を思い出す」とも言われました。(勝手に褒め言葉と解釈してますが、完全な米語と言う事ですよね。英国人にはバカにされそうですね)

    ヒヤリングもスピーキングも後から努力で手に入れる事は出来るのです。でも、それが、さほど重要で無いと大半の人が思っているのも事実だと思います。

    多分、海外で生活されているので、十分理解されていらっしゃると思いますが、外国人の「話せる」や「通じる」は日本人のそれより、かなり適当で大雑把です。中国では国が大きい為、中国人同士が通じない事も有ると香港の人に聞きました。

    語学は意思が疎通でき、お互いの交流ができ、楽しい時間が過ごせる事が最も大切で、発音なんてどうでも良いと思うのです。良いに越したことは無いと思いますが、発音が良くて内容の無い会話より、多少聞きにくくても温かみのある、実りある会話の方が楽しいに決まっています。

    小学生が学ぶべき事は、英語では無く、グローバル社会で競争出来るだけの知識の為にも、きっちりした基礎学習です。

    実際、大学で英文科を出た者でも、会話となると急に尻込みする者が多いのは事実ですが、それは、日本人が単一民族だからであって、幼児教育の問題では無いと思います。経験値さえ積めば、克服は可能です。

    もっと自信を持って下さい。

  6. イギリスは共産主義国 より
    現実見ようよ

    言葉は支配を物語る。歴史は正しい。ヨーロッパは共産化していく。

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